一歩を踏み出したい人へ。挑戦する経営者の声を届けるメディア

Challenge+(チャレンジプラス)

巻頭企画天馬空を行く

「子どもたちが“生きていて良かった”と
思える瞬間を増やしていきたい」

 

踏み出した次への一歩

2025年5月、中川氏は第一子の妊娠を公表し、独立して個人事務所「miracle」を立ち上げた。人生のターニングポイントを迎えた今、どのようなビジョンを思い描いているのだろうか。

「これまでやりたいことをやらせていただいて、たくさんの夢をかなえていただいて、所属していた事務所には感謝しかありません。このままでも幸せだと思うのですが、外の世界に出てみたらどうなるのか、一度しかない人生、自由も責任も持って飛び出してみたいという、ラプンツェルのような気持ちで独立しました。今は妊娠したことで自分の体が日々変化していくのを感じていて、それが怖くもあり、楽しみでもあるんです。子どもが生まれたら、私がかつてしてもらったように、遊園地とか水族館とかいろいろなところへ連れて行きたいですし、450万円ぶんの電子書籍もあるので、漫画とかも読みたい時に読める環境を用意してあげたいと思っています。押し付けるのではなく自然と触れられるように、トラップを仕掛ける感じで(笑)――でも、ドラクエVだけは私と同じスーパーファミコン版をクリアしてほしいかもしれません(笑)。子育てをされている方からはよく『悟空の人生だと思っていたら、悟飯が主人公になった』というような話を聞かされていて、こういうことなのかなと思う一方、まだまだ自分の人生も諦めないぞという気持ちもあります。これからも歌は歌い続けたいし、美容も頑張って、どんどん働きたい。そうして子どもと一緒に人生を楽しむ中で景色が変わったり新しく伝えたいことができたりしたら、絵本や絵で表現したいです。いずれは油絵の個展もやれたらと思っています」

中川氏は芸能活動と並行して、保護猫の活動に勤しんだり、かつて自身がいじめを受けた経験を今の子どもたちの幸せにつなげるために書籍『「死ぬんじゃねーぞ!!」いじめられている君はゼッタイ悪くない(2019年/文芸春秋)』を執筆したりと、世の中をより良くするために惜しみない努力を続けている。最後に、それぞれの活動への思いと、今後の展望について熱く語ってもらった。

「保護猫活動については母ともう20年近く続けていて、保健所でこれから殺処分になってしまう猫の情報をSNS上で見かけては、引き取ってできる限り助けてきました。それでも、劣悪な環境に置かれた経験がある保護猫は病気にもなりやすく、救いきれない命も少なくありません。先日も、引き取って飼っていたカステラという保護猫が、FIPという難病にかかって1歳半の若さで亡くなってしまい、それが悔しくて悔しくて―個人でできることには限界があるからこそ、多くの方に保護猫の現状を知ってほしいと思っています。近年は血統書付きにこだわらない方や、初期費用がかかることを理解している方も増えてきているので、無理せず良いバランスで家族になれる子が増えると良いですね。私自身、別れのつらさを知っているだけになかなか勇気が出せずにいるのですが、いつかは、保護猫カフェを開いてより多くの命を助けられるようにしたいと思います。

いじめ問題については、時代とともに学校へ行けない理由が多様化してきていると、フリースクールを訪れる中で感じています。学校ではない場で出会った子ども同士で仲良くなって、雰囲気は明るいんですが、それぞれに『このままじゃいけない』というくすぶった思いは抱えていて。私も中学時代にいじめを受けた時、母に言えずに取っ組み合いのけんかになったり、卒業式に出られず後悔したりしたので、その気持ちはすごくわかるんです。そこで先日は“卒業式をもう一度”というコンセプトで、かつて卒業式に出られなかったり、学校生活でもどかしい思いをしたことがある方を対象に『空色スクール』という3日間限定のフリースクールを開校しました。上は還暦の方から下は12歳の子まで、30名ほどの方に参加していただいて、12歳の子は『クラスメートと髪の毛のアレンジを褒め合う』という夢をその場でかなえて、大人たちも『つらいこともあったけど生きているって悪くないよ』とカッコいい言葉で伝えていて、本当に素敵な空間でした。今回は3日間でしたが、将来的には自分で本当のフリースクールを立ち上げたいという夢もあります。私自身、最近は生きていて良かったと思うことばかりなので、今度は自分の活動を通じて、子どもたちが“生きていて良かった”と思える瞬間を増やせたら幸いです」

(取材:2025年8月)
取材 / 文:鴨志田 玲緒
写真:竹内洋平

1 2 3