一歩を踏み出したい人へ。挑戦する経営者の声を届けるメディア

Challenge+(チャレンジプラス)

コラム

編集部のおすすめスポット探訪記 Report:4 アートアクアリウム 美術館 GINZA
訪れることでリフレッシュできる、あるいは仕事に生かせるヒントやアイデアが得られるスポットを紹介する連載企画。第4回となる今号では、銀座三越の新館に施設を構える「アートアクアリウム 美術館 GINZA」をご紹介したい。アートアクアリウムは2007年の初開催以降、日本各地を回って実績を積み重ね、2015年からはイタリア・ミラノや中国・上海など世界にも進出して多くの来場者を虜にした巡回展であった。その後2020年に日本橋にてアートアクアリウム初の常設展を開業し、銀座三越へと移転した現在も、日本の伝統文化と四季折々の魅力をたたえる人気施設として着実にファンを増やしている。今回は、銀座という立地の特性に合わせ、落ち着きと気品を持って設えられた数々の展示作品や、それらが生まれた背景からこだわり、鑑賞時の楽しみ方に至るまで、同施設の広報である馬渕理彩氏に話をうかがった。

 
――銀座へと移転されてからも巡回展の熱気をそのままに、多くの人々を魅了し続けている「アートアクアリウム 美術館 GINZA」さん。「百華繚乱 進化するアート」というコンセプトがHPにありますが、こちらにはどんな思いが込められているのですか?
 
馬渕 金魚鑑賞は、日本では江戸時代初期の頃から普及し始めた長い伝統文化です。そんな金魚鑑賞の空間に、日本の伝統美をアートピースとして散りばめることで和の世界観をつくり上げたい、そして常設化を皮切りに、常に進化し続けられるアート作品を手がけたいという思いを込めて開業時に設けたのが、今おっしゃっていただいたコンセプトになります。ただ金魚を鑑賞するだけではなく、そこに「音」と「香り」と「光彩」という3つの要素を織り交ぜ、空間全体を演出しているのが当館の特長なんですよ。
 
――「音」と「香り」と「光彩」の3点について、ぜひ詳しくうかがいたいです。
 
馬渕 例えば「音」であれば、展示作品ごとの雰囲気や特徴に合わせ、オリジナルで制作した音楽をかけて耳でも楽しめる要素をつくり上げています。「香り」についても、展示作品一つひとつにぴったりのアロマをたいているんです。そして移り変わる照明の色彩や光量を操作し、雰囲気を少しずつ変化させることで「光彩」の要素も盛り込んでいます。アートと言えば、作品と向き合ってじっくりと鑑賞するものというイメージがありますが、当館ではそうした3つの要素と金魚鑑賞とを組み合わせ、視覚や嗅覚や聴覚を使って空間全体への没入感を楽しむ「動きのあるアート」を実現しているんです。
 
――確かに館内に入った瞬間から空間全体が彩られていることに感動して、まるで別世界に引き込まれたような気持ちになりました。こちらの美術館でのおすすめの楽しみ方や、事前に準備しておいた方がより楽しめることについても教えていただきたいです。
 
馬渕 当館には現在、100種類、5000匹もの金魚が泳いでいて、色彩が鮮やかな子から、シルエットに特徴のある子まで、多種多様な個性と出合うことができるんです。そのため、ぜひご自身にとって一番のお気に入りを見つけていただき、自由にのびのびと、ご鑑賞や写真撮影をお楽しみいただければと思っています。それぞれの金魚の特徴や写真撮影のポイントについては、ホームページ上に詳しく記載していますので、事前にご確認いただいたうえでご来館いただけますと、さらに新しい発見やワクワクと巡り合えるはずです。
 
――館内で写真を撮る際のポイントについて、特に大切な点を挙げるとしたらどのようなものがありますか?
 
馬渕 人物と作品をセットで撮影したいという場合は、館内のライティングや水槽の光を上手にご活用いただくことで、空間と人物とが幻想的に絡み合う光景を演出することができます。金魚の撮影についても、それぞれの作品を照らすライティングの移ろいに合わせて、シルエットの色彩が白にも赤にも姿を変えていきますので、ひれが揺れ動く一瞬を狙ってカメラを構えていただくのが良いと思いますね。そうすると「動きのあるアート」だからこその偶然が生み出す、肉眼では捉えきれないような魅力的な写真を撮ることができるんですよ。
 
――浮世絵とのコラボレーションや、和を基調としたデザイン性も人気を博している理由だと思いますが、金魚と日本の伝統文化を組み合わせるうえで、どのようなことを意識されていますか?
 
馬渕 例えば「金魚の飾り棚」という作品では、伝統工芸品の江戸切子の中に金魚を泳がせた水槽があり、その上には美しい盆栽が置かれています。このように当館では、水槽自体の形状に和のテイストをあしらうと同時に、本物にこだわった日本の伝統をアートピースとして空間全体にそのまま反映させることで、金魚鑑賞をしながら、江戸からもたらされた直接的な美も楽しめる、ということを意識しているんです。
 
――その魅力に加えて、2023年の秋には「紅黄葉(もみじ)ざかり」と題して季節を感じられる企画が開催されていました。こうした特別企画は、季節やイベントごとに催されるのでしょうか?
 
馬渕 ええ。春には桜、夏には風鈴など、春夏秋冬、常設展だからこそ可能な四季折々の演出を企画し、1年中いつの時期にご来館いただいても新たな催し物や景色が楽しめるよう、常にブラッシュアップを行っています。2023年にはいち早く秋のイベントを展開したのですが、「今年は紅葉が遅いけれど、早めに四季が楽しめて良かった」というお声もいただくことができました。今後も「進化するアート」というコンセプトを一貫しつつお客様からのお声に耳を傾け、そうしたイベントの他、新しい作品の発表やアーティスト様とのコラボレーションなど、さまざまな試みにも挑んでいきたいと考えています。
 
――お客さんの声を常にくみ取りながら、作品や空間、イベントなどの構成を定められているのですね。多彩な種類の金魚と空間とが織りなすこちらの施設ならではのアート作品に、きっとこれからもたくさんの方が魅了されることと思います。
 
馬渕 ありがとうございます。やはり写真の映える施設ということで、主な来館者は20・30代の女性の方になるのですが、銀座という立地もあり、全体的に「大人っぽさ・落ち着き」といったテーマを設けた空間演出となっておりますので、海外旅行で訪れた方や40代以降の年齢の方も多くいらっしゃいます。ぜひこれからも、老若男女やさまざまな国籍の方々に、この銀座三越に広がる癒やしの幻想空間を体験していただきたいですね。
 
 
取材・文:木村 祐亮
写真:坂本 隼

Focus!
「アートアクアリウム美術館GINZA」 は、新春のイベントとして、12月28 日(木)からはお正月仕様に。栄木とされる松の木が生い茂るトンネル型のイルミネーションなどを一足先に楽しめる。
 
*写真は、2023 年同時期のイベントのものを使用したイメージ
 
 
広報担当
馬渕 理彩
 
1998年、東京都生まれ。青山学院大学文学部比較芸術学科を卒業後、(株)Amuseum Parksに入社。「アートアクアリウム美術館 GINZA」の広報活動を担っている。
 
アートアクアリウム 美術館 GINZA
【所在地】〒 104-8212
東京都中央区銀座4丁目6-16 銀座三越新館9F
【TEL】 03-3528-6721
【開館時間】10:00 〜 19:00
【休館日】銀座三越 休館日(メンテナンス等により不定期休館あり)
【URL】 https://artaquarium.jp/

<< Report:3 旧白洲邸 武相荘Report:5 SAUNA OOO  >>

 
 
 

躍進企業応援マガジン最新号

2024年7月号好評販売中!