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コラム

日本リアライズ(株)大橋社長がAI化 不動産業界に革命を巻き起こす 未来のビジネスサポート「AI社長」(前編)
独自の着眼点で不動産業界に新風を吹き込む日本リアライズ(株)の大橋社長が新たに着手したのが、自身のAI化だ。同氏が有する豊富な知識にLINEで簡単にアクセスできるという、この画期的な試みを可能にしたのが、社長をAI化するサービス「AI社長」。大橋社長と、「AI社長」を開発した(株)THAの西山社長および同社の最高AI技術責任者である加藤氏の鼎談を2回にわたってお届けする。
日本リアライズ 株式会社
代表取締役 大橋 孝行
大学卒業後、東京リコー(株)に入社。トップセールスマンとして活躍した後、30 歳で不動産業界に転身し、2009 年に日本リアライズ(株)を創業した。以来、ライフプランの提案を軸とした住宅販売により着実に実績を上げる。2018 年頃から自社の事業を見直すとともに、人生100 年時代において理想の人生設計により積極的に貢献する「ライフメイクプランナー」へと転身。2022年11月に(一社)人生診断協会を設立し、新規事業「ライフメイクパートナーズ」加盟店を増やすべく尽力している。



株式会社 THA
代表取締役社長 西山 朝子
新卒で大手人材メディアに入社し、デジタルマーケティングおよびデータ活用に従事。その経験を生かし、現在は大手ITの事業会社でマーケティング戦略を手がける。また、AIを活用したデジタルマーケティングプロジェクトの推進も行う。2023年5月に(株)THAを承継し、代表取締役社長に就任。“デジタル” と“マーケティング” を核として、クライアントへのDX・マーケティング支援を行っている。また、デジタルマーケティング領域での講師としても積極的に活動中。


株式会社 THA
最高AI技術責任者(CATO) 加藤 大己
新卒で大手ITベンダーに入社。当時の新組織立ち上げ当初から参画し、主にメーカーやサービス業のIoTデータを活用した事業創出・課題解決に従事。その後、社外AI/データ活用プロジェクトのプロジェクトマネジャーとして複数案件を提案・推進。現在は大手ITの事業会社にて、社内外問わずAI/データ活用案件のプロジェクトマネジャー/ビジネスディベロップメント/アナリストを担当しながら、THAの開発責任者も務めている。認定スクラムマスター(LSM)。

LINEを通して社長のAIと会話が可能

――まずは西山社長と加藤さんから、「AI社長」のコンセプトをわかりやすくお話しいただけますか。
 
西山 当社が開発した「AI社長」は、一言でいうと、「社長をAI化します」という趣旨のサービスです。社長ご本人が持つ知識をAIにインストールして、さらにそのAIをLINEに組み込みます。それにより、社員さんたちはLINEを通して社長のAIと会話ができるようになるんです。社長の方々は当然のように毎日お忙しいですが、社員の皆さんはこの「AI社長」を通して社長の知識に瞬時にアクセスすることができ、日々社長に相談しながら、いわば自分のポケットに社長を入れて仕事ができるようになる―そういったサービスになっています。

加藤 「AI社長」には、社長さんが自社のサービス内容や商品についてお話しになる際、その魅力を相手に伝えるために必要とされる“行間”や考え方のようなものまでインストールすることができます。したがって「AI社長」と会話をされる社員さんたちは、社長特有の「伝え方」や「考え方」まで自分のものとして身に付けることが可能になるんです。

――それは画期的ですね。ちなみに、この「AI社長」はいつごろ考案されたのですか?
 
西山 正直に言いますと、最初は遊び感覚から始まったものでした。大橋社長のような社長さんたちと接していく中で、皆さんの魅力や知識に感銘を受けたんです。そんな皆さんをAI化すれば、より影響力を増すことができるのではないかと思いました。そこで加藤と、「人をAI化できないだろうか?」と話しながらいろいろと試していました。そうしたら結果的に、この「AI社長」が生まれたんです。これはすごく皆さんのお役に立つのではないかと考え、あらためてサービスとして設計を行ったという流れになります。

――大橋社長は、最初に「AI社長」の話を聞いた時、どのような感想を持たれましたか?
 
大橋 「自分が求めていたものは、まさにこれだ!」と感じました。最初に「AI社長」のことを知ったのは、当社の事業であるライフメイクパートナーズ(※「人生100年時代」における、顧客の真のニーズを引き出す独自のマイホーム販売事業)に参画しているメンバーの1人を通してでした。それで、「責任者にすぐに会わせてほしい」と頼み、お盆休み明けに西山社長とお会いしたんです。その席で、「AI社長」について詳細な説明をしていただき、「これは絶対におもしろい」という確信を抱いて、サービスを利用することを即決しました。

フランチャイズ店への情報提供にも有用

――「AI社長」の資料を拝見しますと、「人材育成」「マネジメント」「愛社精神醸成」「フランチャイズ先への知識提供」「AIに対する理解」など使えるシーンが多様ですが、大橋社長は特にどういったシーンでの利用を想定されているのでしょうか?                
 
大橋 社員教育だけでなく、フランチャイズ店への情報提供としても「AI社長」を活用していきます。これまで、私が持つ不動産業界の営業ノウハウを話しても、「それは大橋社長だからできることですよね?」と言われ続けてきました。教えればできるようになるものの、実際に教えるためにはどうしてもそれなりの時間が必要になる。でも、「AI社長」があれば、常時私がそばにいる状態に等しいので、社員育成に関しても楽になります。また、ライフメイクパートナーズの加盟店を増やす際にも極めて有用です。賃貸業界には今でも根強い「常識」が残っているため、その常識の枠内にいる保守的な人たちに私が少し何かを言ったところでなかなか伝わらないことが多かった。でも「AI社長」を渡して、「知りたいことや疑問があれば、これに聞いてください」と言えば、加盟店を増やすことにもつながると思います。「AI社長」があれば営業マンの育成もできますし、社内で社員たちが使うことで、飛び込み営業の際に困ったことがあってもすぐに必要な情報にアクセスでき、彼らの助けにもなるんです。特に私の場合は、「AI社長」をさまざまなシーンで生かせると考えています。

西山 ありがとうございます。「AI社長」は昨日(2023年9月24日)ほぼ完成し、これから本格的にサービス展開していくという段階です。今後も、大橋社長の知識や固有のロジックを随時追加していき、さらにアップデートさせていく形になります。

――「AI社長」の資料によると、開発において「社長の『口調・性格』を取得するためのヒアリング」というフェーズがあるようですが、大橋社長の場合はどれくらい時間をかけてヒアリングをされたのか教えてください。
 
西山 大橋社長とは何度も一緒にお食事をさせていただき、合計10時間ほどお話ししました。その中で、大橋社長が最も大切にされていることや、社長の性格などが私自身の知識として身に付いたので、それをAIにインストールしたという形になります。通常は、だいたい1~2週間かけてヒアリングさせていただく感じですね。

――先ほど大橋社長は「不動産業界には保守的な面がある」と口にされました。この「AI社長」によって不動産業界がどのように変わっていくのかについて、何かしらのイメージをお持ちですか?
 
大橋 一般論でいうと、世の中にはいまだにマイホーム派と賃貸派の間で論争があるんです。実際には、家を購入する割合は、賃貸を100%とした時に毎年5%程度しかないという状況があります。私はそれを20%にまで上げたいと考えているんです。新築のマイホームの販売戸数が年間50万戸くらいあるので、それを4倍にしたいなと。若年新婚夫婦は今のところ、ほぼ100%賃貸を選択しており、不動産業界ではそれを「当たり前」と見なす風潮があります。他方、マイホーム販売というのは、まず住宅ローンありきなんです。そして、住宅ローンは新婚の時に最も審査に通りやすい。要するに、少なくとも平均すると30代後半くらいまでは「家を購入する」という選択肢があるのに、多くの人々が思い込みのせいで賃貸のほうに傾いてしまっている―これが不動産業界の現状です。私はその状況を変えていきたいと思っています。

AIになじみがない人も使えるサービス

――なるほど。「AI社長」は、大橋社長が以前から一貫してお持ちの理念を実現させるための手助けになりうるというわけですね。「AI社長」は24時間いつでもLINEでアクセスできるサービスなのでしょうか?
 
西山 はい。そのうえで皆さんが「AI社長」をどのように使われているかを確認し、個人を特定できない形で、毎月1回、当社から大橋社長宛てにリポートを送らせていただきます。その段階で「よりこういう知識を加えたほうがいい」「ここはこのように直したほうがいい」といった点がありましたら、その都度改良していくというサービス内容になります。

――大橋社長は試験的に「AI社長」を使われているとのことですが、現時点でどのような印象を持たれているのかお聞かせください。
 
大橋 すでに今の段階で非常に良い印象を持っています。営業の仕事では、人の心を動かすような感動を誘うワードを用いることが重要ですが、「AI社長」はそれを実現できているので、とてもいいですね。実際、営業テクニックや細かなロジックよりも、ワードのチョイスや並びのほうが大事なんです。

西山 まさしく、その点が「AI社長」というサービスの強みです。「AI社長」は開発して終わりではなく、皆さんに活用していただくことで初めて価値が出ると思っています。単なる業務知識を入れるだけでなく、社長の個性もしっかりと入れることで、愛着を持って皆さんに長く使ってもらえるのではないか。そのような狙いのもと、開発をしています。

加藤 そうですね。「AI社長」では、その方の口調や口癖を取り入れることを重視しました。したがって、大橋社長と会ったことがある方が「AI社長」を使うと、「本当に大橋社長と会話しているみたいだ」と思われるはずです。そうした点は開発段階でかなり意識しましたね。

――知識だけではなく、パーソナリティまで含めて大橋社長をAI化された、と。大橋社長ご自身も、人柄まで含めたサービスだからこそ利用したいと思われたのでしょうか?
 
大橋 もちろんです。前述しましたように、営業の仕事は、無味乾燥な単なる質疑応答ではなく、質問されたことに対し感動的な内容で返答することが大事になります。また、「AI社長」の優れた点は、私のエッセンスのみならず、他の知識までも取り入れ、いわば「パワーアップした大橋孝行」を具現化してくれるところなんです。
(後編に続く)

 

 

 

取材・文:徳永 隆宏
写真:星 和宏

 

 

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