一歩を踏み出したい人へ。挑戦する経営者の声を届けるメディア

Challenge+(C-plus)

コラム

目の前の助けることのできる命を救いたい ~愛護活動で知るペットに対する想い~

人の生活に深く関わり、時にペットという領域を超えて“パートナー”として人生を彩ってくれる「犬」。たくさんの人に愛される存在である一方、その陰では捨てられて保健所送りになったり、ペットショップの繁殖場で不要とされたり、人間の都合で殺処分されてしまう個体が数多くいる。当コラムでは、トリミングサロンを運営しながら保護犬活動に力を入れる(特非)Happy Wan の原弥千代氏が、保護犬活動の実態や支援の必要性についてリアルな情報を発信していく。

(特非)Happy Wanの原弥千代と申します。2022年7月号からコラムを担当させていただいております。5回目にあたる今回のテーマは、コロナ禍でのペット需要についてお話しさせていただきたいと思います。

ペット需要について

(一社)ペットフード協会(以下、協会という)の調査によると、2022年の犬の新規飼育頭数は過去10年間で最多の426千頭※1と増加しました。全体の世帯飼育率は前年度とほぼ同じにもかかわらず新規飼育頭数が増加したのは、コロナ禍でお家時間が増えたことも理由の1つだと思います。

入手先については50%以上の人がペットショップまたはブリーダーからの購入となり、私たちのような保護団体やシェルターからの入手は全体のわずか2%ほどとなっています。※2まだまだ認知度が低いことを実感しました。

また、現在ペットを飼育している人たちでも半数以上が保護団体・シェルターを知らないということも、協会の調査で明らかになっています。※3こうした現状が、保護活動者にとって課題の1つと言えると思います。個々の保護活動者で認知活動を行っても、認知してもらえる人数や範囲には限界があります。国や地方自治体が一緒になって、活動を支援してくだされば、より多くの方々に関心を持ってもらえるのではないかと感じます。

このコロナ禍で新規飼育をされた方のほとんどが命を大切にすることを理解し、愛情を持って終生飼育することを当たり前と考え、家族に迎え入れたと思いますが、やはり中には安易に迎えた方もいらっしゃるでしょう。今後そのような迎え方をされた犬猫が、およそ数年後、コロナ禍とは違う世の中へと移り変わる中で、保健所へ持ち込まれたり、捨てられたりしないことを願うしかありません。

ペット一頭に対する年間支出額

協会の同様の調査によると、犬の場合1ヶ月当たりの支出総額は医療費等を含んでも1万3904円※5と報告されており、年間にすると16万6848円になります。しかし実際にはそんな金額で収まるはずがないと個人的に思います。新規飼育を検討している方がこれらの金額を見ると、問題のない範囲だと感じられると思いますが、個人的には疑問が残る金額でした。体感的には1頭あたり1ヶ月で3万円はかかっている感覚があり、シニアになり病院への通院が増え、投薬が必要になると5万円以上になる月もあるように感じます。

1年間の中で狂犬病予防接種各種予防薬等の購入、トリミングなどの必要な費用を合わせると、ペットの治療費はとても高額になります。ペット保険に加入していなければ、一度の診察で1万円を超えることもよくあります。ペットの年齢によっては病院へ行く回数も増えていき、大きな病気やケガをすると何十万円もの金額になることさえあるのです。

お金だけの問題ではありませんが、安易な気持ちでペットを迎えると人もペットもつらい思いをしなければいけないので、本当に金銭的に余裕があるか、これからのライフスタイルも考慮して迎え入れても問題ないか、自分ではどうすることもできないペットたちに万が一のことがあった時に、その子を最優先できるかを真剣に考えたうえでお迎えいただきたいと心から思います。

ペットも人間も同じ命を持っている

この世に産まれてきた以上、ペットにも幸せになる権利はあります。しっかりと家族全員が愛情を注いで一緒に過ごすことで、ペットにも気持ちは通じます。強い立場の人間の一方的な感情で縁を切ることはとても残酷です。相手が犬であれ、楽しかった思い出もすべてなくなります。ペットと言葉は通じなくても、そのペット自身にも感情があることを決して忘れないでいただきたいと思います。ひとつの命を後悔させないよう、縁がありパートナーになった頃の気持ちを忘れないでください。犬は人間の4倍も早い時間を過ごしています。一日一日を大切にたくさん話しかけて、たくさん愛情を注いであげてください。ペットとの生活はもちろん大変なことも制約されることもありますが、それ以上に癒やしをもらったり笑顔にさせてもらったり、数えきれないほどの幸せを与えてくれていることも忘れないでいただきたいと思います。

最後に

犬と暮らしていらっしゃる方であれば、耳にされたことがあるかもしれませんが、『犬の十戒』という、作者不明のまま世界に広まった短編詩があります。原文は英語なので、日本語翻訳はニュアンスが異なる部分もあるかもしれません。しかし今、犬と暮らしている方にも新しく家族を迎えようと考えている方にも一度、読んでいただきたい詩なので、こちらをご紹介し、第5回のコラムを締めさせていただきます。

【犬の十戒】※6
第一戒:私の一生はだいたい10年から15年です。あなたと離れるのが一番つらいことです。どうか、私と暮らす前にそのことを覚えておいて欲しいのです。第二戒:あなたが私に何を求めているのか、私がそれを理解するまで待って欲しいのです。第三戒:私を信頼して欲しい、それが私にとってあなたと共に生活できる幸せなのですから。第四戒:私を長い間叱ったり、罰として閉じ込めたりしないで下さい。あなたには他にやる事があって、楽しみがあって、友達もいるかもしれない。でも、私にはあなたしかいないのです。

第五戒:時々話しかけて欲しい。言葉は分からなくても、あなたの心は十分私に届いています。

第六戒:あなたがどのように私を扱ったか、私はそれを決して忘れません。

第七戒:私を殴ったり、いじめたりする前に覚えておいて欲しいのです。私は鋭い歯であなたを傷つけることができるにもかかわらず、あなたを傷つけないと決めているのです。

第八戒:私が言うことを聞かないだとか、頑固だとか、怠けているからといって叱る前に、私が何かで苦しんでいないか気づいて下さい。もしかしたら、食事に問題があるかもしれないし、長い間日に照らされているかもしれない。それとも、もう体が老いて、弱ってきているのかもしれません。

第九戒:私が年を取っても、私の世話はして下さい。あなたもまた同じように年を取るのですから。

第十戒:最後のその時まで一緒に側にいて欲しいのです。このようなことは言わないで下さい、「もう見てはいられない。」、「居たたまれない。」などと。あなたが側にいてくれるから最後の日も安らかに逝けるのですから。忘れないで下さい、私は生涯あなたを一番愛しているのです。

[注釈]
引用元:※1 「一般社団法人 ペットフード協会 2022年 令和4年 全国犬猫飼育実態調査 結果(https://petfood.or.jp/topics/img/221226.pdf)」
※2「一般社団法人 ペットフード協会 令和4年 全国犬猫飼育実態調査 ペット入手時の情報源・入手先(https://petfood.or.jp/data/chart2022/9.pdf)」
※3 同上
※4「一般社団法人 ペットフード協会 令和4年 全国犬猫飼育実態調査 ペット入手時の情報源・入手先(https://petfood.or.jp/data/chart2022/9.pdf)」
※5「一般社団法人 ペットフード協会 令和4年 全国犬猫飼育実態調査 犬 飼育・給餌実態と支出(https://petfood.or.jp/data/chart2022/6.pdf)」
※6「フリー百貨辞典 ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/犬の十戒)」

■プロフィール
原 弥千代
 
甲子園球場のショップに販売されていた犬用の服に一目ぼれし、犬を飼い始める。絆を深めいつも一緒にいたいと思うようになったため、不動産会社を退職し2010 年にトリミングサロン「dogparadise Cocoe」をオープン。3店舗まで事業を拡大する。2020年には(特非)Happy Wan を設立し、大阪府枚方市を拠点に犬の保護活動をスタート。トリミングサロンの店舗スペースを活用した保護を行いつつ、多くの人に「自分にできる範囲での支援」を呼びかけ、着実に活動の幅を広げている。

<< Chapter 4 : 繁殖犬が抱える... |<Chapter 6 : 愛護団体の活動... >>

 
 
 

躍進企業応援マガジン最新号

2024年3月号予約受付中!