注目企業インタビュー
スペシャリスト
保守的な日本の海事行政・業界を改革
障壁を取り払い、海を身近な存在に
株式会社 Umimawari.
代表取締役 / 海事代理士 小栗 康弘
PROFILE
幼少期からヨットに親しみ、大学在学中は、西半球・東洋選手権や全日本学生ヨット個人選手権大会など、国内外の大会で優勝を収めた。大学卒業後は、大手電機メーカー、ITベンチャー企業に勤める。海事代理士国家試験に合格後、2023年1月に(株)Umimawari.を設立した。
COMPANY DATA
- 住所
- 〒251-0035
神奈川県藤沢市片瀬海岸1-12-4 - URL
- https://kd-umimawari.com/
あべ まずは小栗社長のご経歴からおうかがいできますか?
小栗 私は小学生の頃からヨット競技を始め、今でも継続しています。その中でも大学ヨット部時代には全日本インカレで優勝するぐらいまで熱量を持って打ち込んだんです。大学卒業後は電機メーカーを経て、ITベンチャー企業を2社経験しました。その頃から先進的なIT業界と保守的な海事業界の差を強く感じるようになり、自分に何かできないかと、副業で船舶免許の講師から事業をスタートしました。それを本業にできるぐらいの規模まで成長させられたこと、2022年の海事代理士試験に合格できたことを機に、翌年1月に当社を設立しました。
あべ 「海とIT」、小栗社長はこの2つに長年携わってこられたのですね。海事代理士という仕事や御社の事業についても、ぜひ詳しく教えてください。
小栗 海事代理士は、船舶の登記や登録、許認可の申請などを代行する専門職です。当社では、この海事代理士業務に加え、小型船舶免許の教習所運営や海事法に関するコンサルティングなども手がけています。海で遊びたい方、挑戦したい方を幅広くサポートし、海と陸の境界を取り払うことで、海をもっと身近な存在にしていきたいと考えているんです。
あべ 「海を身近な存在に」、そう思われたきっかけは何だったのでしょうか?
小栗 私は学生時代、ヨット競技の海外大会に出場したことがあります。その際に、法律や慣習の縛りが強い日本の海は海外と比べると非常に閉鎖的なのだと気が付いたんです。海には法律による制限が多く、また業界が保守的なので、新規事業の参入ハードルが非常に高いんですよ。レジャーやビジネスにおける障壁を取り払って、海を「みんなの海」にしたい。そして、海外の海辺のように、日本の海辺を一年中人が集まる活気ある場所にしたい。それが私の根底にある思いです。
あべ 素敵だと思います。その思いが小栗社長の原動力なのですね。
小栗 その通りです。また、私が考えるもう1つの課題は、海事行政手続きにおけるIT化の遅れです。海事業界にはいまだに、手書きで作成し、直接手渡ししなければ行政に受理されない書類が多くあります。私の経験を生かして、業界のIT化にも貢献したいと考えています。
あべ 既存の形式にとらわれない姿勢が素晴らしいと思います。
小栗 ありがとうございます。私は雇用の形に関しても新しい取り組みを行っています。当社はスタッフを正社員としては採用せず、業務委託契約を結んだプロ集団にそれぞれの得意とする業務を担当してもらっています。時間ではなく成果に対して給与をお支払いしているので、各自が一番効率的だと思う形で柔軟に仕事を進めてもらえるんですよ。これからもこの海のプロ集団の力で1歩1歩海事業界の改革に取り組んでいきます。
GUEST COMMENT
あべ こうじ
海に関する法律のプロフェッショナル・海事代理士として業界を変革しようと奮闘する小栗社長。海とIT、2つのフィールドで活躍してきた社長にならきっと、人々と海の間にある壁を取り払えるはずです。これからも攻めの姿勢で改革に取り組み、1年を通じて人でにぎわう海辺をぜひ、実現してください!