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注目企業インタビュー

漆塗りで生まれる世界に1つの「華電」<br />
家電製品の革新的なデザインを追求

サービス

漆塗りで生まれる世界に1つの「華電」
家電製品の革新的なデザインを追求

テンカラーズ・クラフト 合同会社
代表 安達 智

PROFILE

石川県出身。大手電機メーカーに入社し、オーブンレンジやエアコンなど家電製品の商品企画に携わる。定年を機にテンカラーズ・クラフト(同)を設立。漆塗り、蒔絵(まきえ)、螺鈿(らでん)などの伝統工芸や現代塗装で装飾を施した「クラフトデザイン華電」を発案し、石川県や京都府の漆職人の協力を得て漆塗りエアコンの企画・プロデュースを手がけている。

COMPANY DATA

テンカラーズ・クラフト 合同会社

住所
〒 216-0011
神奈川県川崎市宮前区犬蔵1-22-30-1
URL
https://10colors-craft.com/

山中塗を施した「クラフトデザイン華電」

名高 「クラフトデザイン華電」というまったく新しい家電製品の企画・プロデュースをされているテンカラーズ・クラフト(同)さん。まずは、安達代表のこれまでの歩みからお聞かせください。

安達 私は大学卒業後に大手電機メーカーに入社し、地元である金沢と東京など、土地を転々としながら経験を積んでまいりました。そこでは、さまざまな家電製品の企画に携わっていたんです。やがて60歳を迎えた時に、会社に残るよりも、今まで考えてきたビジネスモデルに挑戦したいという思いが強くなり、一念発起して2023年10月に当社を立ち上げました。現在は名高さんにおっしゃっていただいたように、クラフトデザイン華電というオリジナルの家電製品の企画・プロデュースに力を注いでいます。

名高 クラフトデザイン華電とは、一体どのようなものなのでしょうか。ぜひ詳しくおうかがいしたいです。

安達 簡単に言いますと、既製の家電製品に漆塗りや蒔絵などの伝統工芸、さらには現代塗装によって装飾を加え、この世に2つとない独創的なデザインの家電(華電)として商品化したものです。今メインで取り組んでいるエアコンも、山中漆器で知られる石川県加賀市の製造元に依頼し、およそ5ヶ月の試行錯誤を経てようやく完成しました。

名高 なるほど。伝統的な山中塗の質感と色彩をエアコンに取り込んで、美しいデザインに仕上げたということですね。安達代表は、どのようなきっかけからエアコンと伝統工芸という組み合わせを考え付いたのでしょうか?

安達 家電の世界では、よく白物、黒物といった言葉が使われるのをご存知かと思います。白物家電を代表するのはエアコンや洗濯機、冷蔵庫などです。つまり白を基調とした商品のことを指しています。でも、実は白物のような分類の仕方はすでに過去のものとなっていて、近年では海外製のカラフルな家電が部屋を彩るようになりました。ところが、なぜかその流れに取り残されてしまっているのが、エアコンなんです。

白一色の家電に新たな色彩とデザインを

名高 考えてみると、一般住宅はもちろんのこと、和食のお店や日本旅館など、どんな室内もエアコンだけは白と決まっているような感じですよね。

安達 それしかないんだ、仕方ないんだとお客様も思い込んでいるんです。しかしそれは、大量生産・大量販売をするならニーズの大半を占める白にしておけば問題ない、コストダウンにもなるというメーカー側の考えにもとづいています。乱暴な言い方をすれば、部屋をコーディネートするために、赤や黒、ベージュなど、お好みの自由な色彩の商品がほしいというお客様を切り捨ててしまっているんです。昔、日本の家屋が和室中心だった時代には、木目調のテレビやエアコンがありましたよね。

名高 確かに、昔はそういった和の空間に合う家電製品がたくさんありましたね。

安達 ええ。しかし、それももう今ではすっかりなくなってしまいました。そこで私は、そういった自由な発想でお部屋をコーディネートされている方や、旅館や料亭などの独自の内装を大切にされている場所に向けて、雰囲気に合わせたお好みの色のエアコンをお届けしたいと考えたんです。そして、単純な塗装をするだけではなく、「エアコンを素晴らしい工芸品にできないか、芸術的なインテリアにできないか」と突き詰めていった結果、漆という世界に行き着いたんですよ。

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