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注目企業インタビュー

短納期の要求にも応え家具や建具を製作<br />
職人を豊かにして木工業界を活性化する<br />

製造・技術

短納期の要求にも応え家具や建具を製作
職人を豊かにして木工業界を活性化する

株式会社 畑野工芸
代表取締役 畑野 克実

PROFILE

「畑野工芸」を創業した木工職人の父の背中を見て育ち、仕事を手伝ううちに自然と後継ぎへの意識が芽生える。やがて同社で働くようになるが、2013年に父が急逝。2代目社長として法人化や作業の機械化を進め、職人の待遇改善や業界の改革にも全力で取り組んでいる。

COMPANY DATA

株式会社 畑野工芸

住所
〒405-0067
山梨県笛吹市一宮町土塚488-1
URL
https://hatanokougei.co.jp/


名高 まずは、家具や建具を製作する熟練の職人である畑野社長のこれまでの歩みから教えてください。

畑野 当社は1973年に私の父が創業しました。子どもの頃からその父の背中を見て育った私は、自然と仕事を手伝うようになり、後を継ごうという意識が芽生えたんです。他社に就職はせず当社で働くようになったのですが、2013年に父が急逝し、私が2代目になりました。

名高 ぜひ、畑野社長の職人としての誇りをお聞きしたいです。

畑野 一口に木工職人と言ってもさまざまなタイプがいますが、私はいわゆるクリエイティブな仕事をするよりも、お客様やデザイナーさんのニーズにお応えすることを大切にしています。自分がつくりたいものばかりつくっていると、結局は同じ作業の繰り返しになり、仕事に飽きたり楽をしたりするようになってしまうものなんです。一方、デザイナーさんの設計の中には「どうやって仕上げればいいんだ」と頭を抱えるものもあります(笑)。しかし的確に意図をくみ取り、お互いに納得できるものづくりをすることによって、常に新鮮な気持ちで仕事ができると考えているんです。

名高 スペシャリストではなくジェネラリストでありたいわけですね。

畑野 はい。一芸に特化するより幅広くマルチに仕事をして、同じ製品を100個つくる場合も、すべてを同様のクオリティで完成させたいんです。ただその一方で、仕上げた製品はすべて自分のものという気持ちも大事にしています。だからこそ、わずかなミスも許さない姿勢で仕事に向き合えるんです。注文通りに仕上げた製品をお客様に評価していただけると、大きな喜びを感じますね。

名高 会社のかじ取りをする経営者としての畑野社長の姿勢も気になります。

畑野 父の後を継いだ際、まず私は当社を法人化しました。日給制が当たり前という業界の中で社会保険を用意するなど、安心して働ける環境をつくって職人を雇用したんです。同時に、手作業の工程も重視しながら機械化を進めて工房を拡張し、3ヶ月で完成する新築住宅のスケジュールにも対応できるよう納期の短縮化を実現しました。それらは父とは異なるスタイルで仕事をしてみたいという思いの表れであり、また、苦労して技術を身に付けた職人が金銭的にも豊かになれる業界にしたいからでもあるんです。

名高 まさに見事な改革ですね。(株)畑野工芸さんの将来が楽しみです。

畑野 ありがとうございます。実をいうと私の息子は獣医師を目指しているので、今のところは後継ぎがいません。でも社名が変わっても構わないので、私の意思を受け継いでくれる職人が後継者になってくれればいいと思っているんです。そのために、今後も難易度の高い仕事に積極的に取り組みながら、木工業界を活性化していきたいですね!

GUEST COMMENT

名高 達男

オリジナリティにこだわるよりもお客さんの注文に応えることを優先する。これはまさに本物の職人の姿勢だと思います。技術の積み重ねに加えて新しい取り組みも続けておられる畑野社長は、2代目社長のお手本のよう。お父様も喜んでいらっしゃるでしょう。(株)畑野工芸さんの躍進が楽しみでなりません。

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