注目企業インタビュー
医療・福祉
体調管理と登山の両面で適切なサポート
患者の夢を叶える現役臨床医兼登山ガイド
Ai Mountaineering Clinic
代表 三井 愛
PROFILE
15歳で登山を始める。学業修了後、経営コンサルタントを経て28歳から大学医学部で学び直し、医師免許を取得。現在は勤務医の傍ら、現役臨床医兼登山ガイドという希有な資格を生かし、「Ai Mountaineering Clinic」の代表として山を目指す患者の支援に取り組んでいる。
COMPANY DATA
- 住所
- 神奈川県川崎市
- URL
- https://www.aimountaineeringclinic.net/
宍戸 三井代表は外科医にして、国内では珍しい山岳医、そして登山ガイドの有資格者でもあるとうかがいました。稀有なキャリアをお持ちですが、医学と登山、先に目覚めたのはどちらですか?
三井 登山です。高校1年から大学まで山岳部に所属していました。ゆっくり歩けば幼い子どもでも周りが荷物を持ってあげたりすることで、同じ山頂を目指せ、喜びを分かち合える登山というスポーツにどんどん夢中になっていったんです。
宍戸 では医療の道に進まれた理由は?
三井 大学を卒業後は、経営コンサルタントをしながらアルバイトで登山の引率をしていました。しかし、リーマンショックで仕事がなかった時に、この調子だとヒマラヤに登る費用を貯めるのは無理だと思ったんです。どんな状況であっても稼げる仕事に就こうと、27歳の時に心機一転、医療業界に身を投じました。
宍戸 それで本当に医師になったのですから、その知性とガッツには感心します。そんな三井代表が「Ai Mountaineering Clinic」さんをスタートさせた理由について教えてください。
三井 今まで勤務医として、がんの患者様を数多く診てきました。がんを宣告されたら多くの方が死を意識されますが、そんな中で、「死ぬ前にあの山に登りたいけどできるかな」と言ってこられる方が多いんですよ。私はがんの方でも透析患者様でも、病態をきちんと見定めることができますし、学生時代から無数の山に登っています。そんな経歴の私が医者の観点から患者様の体調やバイタルに目を配りながら、適切なルートを選んで一緒に登ることで、皆様の夢をかなえられるのではないかと考えました。
宍戸 なるほど。だから、登山ガイドの資格も取られたのですね。
三井 はい。現役臨床医兼登山ガイドというのは国内で少数しかおらず、女性は私が唯一だと思います。現役臨床医の役割は明確ではなくて、教科書もなければ、論文もありません。だからまだ自分たちで土台をつくっている段階です。前述した透析患者様を山に連れて行った時などは、どれぐらい汗をかかれるかわからないので、体重計を抱えて登山をしました。
宍戸 今後の抱負をお聞かせください。
三井 登ってみたいと手を挙げてくださる方の絶対数がまだ少ないので、私のような登山ガイドがいることをもっと多くの方に知っていただきたいです。でも、単に数を増やそうとするのではなく、目の前で私を必要としてくれる患者様の思いに寄り添いながら、共に目標の山に挑んでいけたら嬉しいですね。
GUEST COMMENT
宍戸 開
登山の魅力の1つは自分の命と向き合える点だと思います。病気を抱えるなど体の弱い方が一生懸命に登り、例え頂上まで行けなくても、自然と触れ合うことで体調面に良い影響が出ることもあるのではないでしょうか。三井代表のように登山経験が豊富な医師は貴重な存在です。