注目企業インタビュー
謙虚な姿勢と感謝の心を忘れない
嶋 その一世一代のピンチを、相澤代表はどうやって乗り切ったのでしょうか?
相澤 どん底の私を支えてくれたのは、残ってくれたスタッフや、「状況がよくなるまで待つよ」と言ってくださったお取引先の皆さまでした。周囲の方々のおかげで再起した私は、今度こそ自分のためではなく、これまでの私を救ってくれた皆のために仕事をしようと決意したんです。おかげさまで従業員も40名まで増員するまでに至り、仲間と共にがむしゃらに挑戦する毎日を送れています。
嶋 経営の中で、相澤代表が特に心がけていらっしゃることは何でしょうか?
相澤 何千社とある荷揚げ業者の中からお客様に選んでいただくため、品質を保証するのは当たり前のこと。プラスアルファとして当社では何よりもコミュニケーションを大切にし、現場の職人さんやお取引先の方々に、「TMだから仕事を頼む」とおっしゃっていただけるお付き合いをするよう徹底しているんです。これは社内でも同じで、私のことは皆「社長」ではなく「相澤さん」と呼べるような横一線での関係性を築いています。建築業界には、どうしても「怖い」イメージがつきまとっていますよね。だからこそ常に謙虚な姿勢と感謝の心を忘れず、和気あいあいとした社風で人間力を育んでいくことが当社の方針なんです。
嶋 従業員の方々にとってもお客さんにとっても、心地の良いコミュニケーションを意識されているのですね。
相澤 はい。荷揚げ作業で最も大切なのはチームワークですので、スタッフや協力会社さんとの絆を深めることは欠かしません。そうして仲間と汗を流し、荷揚げを終えた時の達成感は格別なんですよ。少し、自分がアスリートになったような気持ちになれるところもある気がしますね。作業を通じて皆との結束力が高まり、旅行やバーベキューやお花見などをしながら楽しい日々が送れるのも、この仕事の魅力だと思います。
建築業界の古いしきたりを壊す
嶋 現在TM groupとして、3社もの経営に関わっていらっしゃる相澤代表。それぞれどのような特長があるのですか?
相澤 TM groupを構成するのは、荷揚げ事業の(同)TM liftingと工務店の(株)TM。そして、荷揚げ事業をフランチャイズ展開するため、2号店という位置付けで設立したTM.style(同)です。荷揚げの仕事は重労働なので、いつかは無理がたたるもの。事業を多角化しているのは、そうして働けなくなった従業員への受け皿を設けて別の働き方も提供したいと考えたからなんです。
嶋 仲間には必ず手を差し伸べたいという強い思いを感じます。従業員さんのためを考えておられるのですね。
相澤 そうなんです。建築業界には年功序列のような古い伝統が残っています。そのような慣習を若い力で壊し、実力のある者が上に行ける業界に変えたいと思っています。例えば、TM.style(同)の代表は、まだ仕事を始めて1年の者を採用しているんですよ。
嶋 年齢や経験を問わず、実力主義でスタッフの方を鼓舞されているのですね!
相澤 はい。彼のように誰よりも頑張った若者を抜てきしたところ、それを見たスタッフが「俺も社長になれる」と、ますます奮起してくれるようになりました。その勢いに乗じて今は、TM group全体の事業規模を広げるために、東京・埼玉・神奈川で解体業や産業廃棄物収集運搬の資格を取るなど基盤を固めているところです。スタッフやそのご家族の生活を背負っているからこそ、「やるしかない」という強い覚悟で経営に挑み、今後も私は未経験の業種にも積極的にチャレンジしていきます!
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GUEST COMMENT
嶋 大輔
音楽を諦めるという経験を乗り越え、「なにくそ根性」で這い上がってこられた相澤代表は、すでに一流の経営者の目をしていらっしゃいました。自分1人では何もできないといち早く気付き、風通しのいい会社をつくり上げた代表のもとには、今後も多くの方が集まることと思います。そうした周囲の皆さんのためにも、ますます頑張っていただきたいですね。