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Challenge+(チャレンジプラス)

注目企業インタビュー

学校卒業後、テニスのインストラクターとして働き始める。26歳の時、体を壊したことからデザインの道への転身を決め、イタリアに留学。視覚伝達論を学び、経験を重ねて独立を果たした。

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紆余曲折を経て自らの道を見出す

岡安: イデアさんは、来年で設立から10周年を迎えると伺いました。会社の沿革と共に、村上社長のこれまでの歩みをお聞きしたいのですが、社会に踏み出した一番最初のお仕事は?

村上: テニスのインストラクターです。でも、26歳の時に体を壊して辞めざるをえなくなりまして。「さて、何をしよう」と道を模索する中で、それまで興味を持っていたデザインを勉強しようと決意。言葉が何も分からないながらもイタリア留学を決め、デザイン学校に入学して視覚伝達の勉強を始めたんです。

岡安: 言葉が分からないのにイタリアに渡られるとは、勇気がおありですね。

村上: デザインに進もうと決めたのが26歳でしたから、自分なりに切羽詰まっていたこともあったのだと思います(笑)。何も分からずに渡ったイタリアですが、生活はとても楽しく、勉強になることがたくさんありました。中でも一番印象深かったのが、庭造りを見学した時のこと。日本の感覚だと、緻密に計算した上で設計していくでしょう。でも、私が見た庭造りは、職人さんがその場で考え、配置していくのです。着実に積み上げてきた経験とセンス、そして仕事を愛する心があるからこそ実現する「プロの仕事」完成までの過程を見て、いかにその庭を職人さんが愛しているかが伝わってきて、とても感動したのを、今でもはっきりと覚えています。そういった経験も含め、イタリアでは、「対象を愛して自分の全身を使って入り込んでいく」という、モノづくりに対する姿勢を学びました。学校を卒業した後は、日本とイタリアとの橋渡し役になれるような仕事をしようと決意して帰国。経験を重ねた後、1998年に独立した次第です。

人との繋がりを生かして

岡安: どうして池袋を創業の地に選ばれたのでしょうか。

村上: 池袋は、私が生まれ育った土地なんです。地元ならではの人との縁を活かしたいという思いと、私を育ててくれた土地に恩返ししたいという気持ちがあったことからここでの創業を選びました。実際、現在は地元の経営者で結成する会に参加しており、そこで生まれた繋がりは経営にとても大きく生きています。地元ならではの温かな繋がりに大変助けられています。

岡安: では、現在の具体的な業務内容を。

村上: 様々な媒体におけるデザインを手掛けています。ホームページの制作から、ポスターやパンフレット、カタログなどのデザイン・制作、また施設のデザインや企業のロゴマーク等、手掛けるものは多岐に亘ります。設立当初はパンフレット制作などの紙媒体が主でしたが、ITが多くの人に浸透していくにつれて、そちらの比重が重くなっていきました。

岡安: 確かに、今は情報を得る手段としてインターネットが主体になっていますから、需要も多そうですね。技術の進歩が激しい世界ですから、スタッフの皆様に求められるスキルも高いでしょう。現在、スタッフの方は何名ですか。

村上: 10名です。もちろんスキルも大切ですが、当社には、未経験から入ってくる方もたくさんいるんですよ。皆、分からないことは自分で調べ、勉強しながら成長しています。みんなで気持ちをひとつにして、「一緒に進んでいく」という意識がある会社、それが私が目指す会社像。私自身、「人」がとても好きなんです。ですから、規模などの目に見える要素に左右されるのではなく、皆が心を一つにして協力し合って前進していければ嬉しいですね。

岡安: そういった思いは仕事の質にも現れ、結果的には会社の信用に繋がってくるのだと思います。社内の態勢と言うのは、お客様にも自然に伝わるものですから。

村上: そうですね。お客様の中には、「イデアに頼めば何でもしてくれるから安心」と言って何度も頼んでくださる方が多いんです。お客様からのご要望にきちんとお応えするためには、日々勉強し、スキルを磨き続けることが大切。お客様のご要望全てをなるべくお断りせず、高いレベルで応えられる会社を目指しています。

「人」の感性が生きる会社でありたい

岡安: では、人材育成という面で大切にしていらっしゃることは?

村上: 時代背景や社会情勢によって、求められるものは違います。だから、常に自分の中でアンテナを立て、情報をキャッチすると共に感性を磨き続けてほしいですね。これは、スタッフにも良く言う言葉なのですが、仕事で大切なのは「引き出しをたくさん持つこと」なんです。美しいものや素晴らしいことを感じる心、そしてそれを表現するための表現力は、そのまま仕事の質につながっていきます。普段何気なく見ている電車の吊り広告にしても、電車を降りて自分が覚えているものがあれば、それは人の心に届く表現力を持っているということです。そこから何を学ぶかは、自分次第。仕事以外の場でも「何かを学び取ろう」という心を持って、成長していってほしいですね。

岡安: 日々の心がけが仕事の質を大きく左右するのですね。

村上: はい。そういった意味で、この仕事の財産は「人」なんです。ですから、スタッフの手掛けたデザインや制作物がお客様に認められると、本当に嬉しいですね。スタッフは一人ひとり個性や得意分野が違います。それぞれのいいところが伸びてこそ、会社全体としての成長も成し遂げられる「人」という財産を基盤にして、前進していきたいですね。

岡安: 個人が持つ感性が、お仕事の質に大きく影響するということがよく分かります。では、お客様から喜びの声をいただけると、本当に嬉しいでしょう。それは、それを手掛けた人そのものが認められるのと同じですもの。

村上: そうですね。当社が手掛けた媒体が売り上げアップに繋がったり、集客力アップに繋がったりといったご報告を、お客様からいただくことがあるんです。そんな時は本当に嬉しいです。また、満足していただいたお客様が別のお客様を紹介してくださることも多く、そういった時には心からやり甲斐を感じます。社名「イデア」は、イタリア語の「アイデア」から来ています。発想し、アイデアを生み出し、皆に伝えていく社名に込めたその思いを原点に、これからもお客様の思いをしっかりと汲み取り、人の心に伝わるものを創り出したいですね。

GUEST COMMENT

岡安 由美子

「人材こそが財産」とおっしゃり、スタッフ一人ひとりが個性を生かせ、伸び伸びと働ける環境を整えていらっしゃる社長。「表現」には、個人の感性が大きく影響します。対談を通して、社長ご自身の温かな心と豊かな感性を感じましたが、それは、イデアさんのカラーそのものとも言えそうですね。

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