コラム

「国内ビジネスを展開していくうえで、どのような課題があり、どう解決すべきかが判然としない」。そんな声にお応えして、海外で豊富な経験を積み、国内での起業にも精通する(株)サザンクロスの小田切社長が、企業の経営基盤や人事諸制度の構築・再構築にフォーカスしたノウハウを解説。第1回は、経営の4大要素や、経営者における「人」の重要性などについてまとめていきます。
皆様、こんにちは。(株)サザンクロスの小田切武弘です。本誌で2020年9月号から、海外でビジネスを進める際の現地ローカルスタッフへの接し方や、仕事の依頼の仕方、スムーズなコミュニケーションの取り方などにフォーカスしたコラムを連載し、2024年5月号からは海外主要国における代表的なビジネス習慣・商習慣について執筆してまいりました。今号からは数回程度ではございますが、ご要望の多かった、立ち上げて間もない企業様を対象とした経営基盤や人事諸制度の構築・再構築をテーマにコラムを掲載させていただきます。
①経営の4大要素と「人」
今回は初回ということで、経営全般のお話から進めていきます。経営には基本4つの要素があると言われています。いわゆる「人」、「物」、「お金」、「情報」です。どの要素も重要で、すべての要素が一つの円でつながっています。どの要素が最重要か優先順位を付けることはできないとは思いますが、あえて私の個人的な意見で言うならば、「人」が最重要だと考えています。続いて「お金」、「情報」、「物」の3項目が同順に並びます。当社ではこの価値基準をベースに、会社勤めの期間を含めて20年以上にわたり、約200社のコンサルティングをお任せいただく機会がありました。対象となる企業様の規模は、個人経営から大手企業まで、また、業種もさまざまです。
どのような企業規模・業種であっても物事を判断し、事業を動かしているのは「人」であり、「人」によって「お金」、「情報」、「物」の取り扱い方が変わってきます。したがって安定した健全な経営をしていくためには、企業の経営者はまずご自身が内面・外面ともに常に理想形を追求する必要があります。
実際の経営でみると、自社の属する業界の専門知識や、法務、財務、経理、総務などに関する必要に応じた基本知識を持ったうえで、思考力、行動力、交渉力、判断力を発揮することが、その企業の最終責任者である社長に求められます。完璧な人間はいませんが、少しずつでも自身に足りない部分の習得を目指すことが大切です。
②「人」とは
経営の4大要素の中で、私は「人」が最重要だと申し上げました。これは当然、企業において最適な人材を雇用し、大切に育成していくことを指していますが、実は雇用する人材の前に、経営者自身の「人」こそが重要です。前述したように、経営者にはさまざまな分野においての自己研鑽が必須ですが、その他にも、総合的な「人間力」が問われます。「この会社で仕事をしていてやりがいや生きがいを感じさせてくれる」、 「この社長のためになら一生懸命頑張れる」、 「社長は、自身の仕事の良い面と改善する部分を明確に示してくれ、プラス面もマイナス面も正当に評価してくれる」 、「社長は見えないところでもさまざまなことを勉強する姿勢を持っており、自身も社長の背中を見ていきたい」というような気持ちを社員に持ってもらえるかどうかが大切です。
経営者セミナーや講演会では、経営の4大要素の一つとして、社員の「人」を取り上げるケースが一般的です。しかし、私は経営者自身の「人」がともなって初めて、それが社員の「人」につながってくるのだと皆様にお話ししています。
③経営者にとっての「人」
人として尊敬される経営者とは、具体的にどのような思考や行いを指しているのでしょうか。20年余にわたり、多くの企業の役員から一般社員にまで聞いた具体的な内容のうち、多かった11例をまとめていきます。
①各部署における今月、今期、来期、年間の目標が全員の見えるところに掲示されている(逆算方式で予定を立てている)
②社長の毎日、毎週の予定が明確
③社員、顧客分け隔てなく笑顔で声かけをしている
④社員の始業時間、昼休み、退勤時間を常に気にしている
⑤ミーティングをする時には、開始・終了予定時間、議題、書記を明確にする。その後のフォローも5W1Hを明らかにして、経過や結果を別途全員で共有するよう留意している
⑥作業机周りの整理整頓が行われている。メモ帳やスケジュール表が都度更新され、仕事の棚卸と優先順位付けを頻繁に行っている
⑦身だしなみを清潔に保っている
⑧社員からの話に真剣に耳を傾けている。不定期・定期問わず、コミュニケーションを図る機会をつくっている
⑨出勤から退勤まで、確認する情報や内容をルーティン化している
⑩多分野にわたる読書をしている
⑪朝令暮改をしない
多くの企業で上記のような例が、理想とされる経営者の姿として挙げられています。これらは私自身に対しても、戒めとなる貴重なご意見として常に思い出すようにしています。
④創業間もない企業の課題
日本の場合、中小企業に関するソースが、中小企業庁などから出ています。それを見ると、起業後10年以内に90%近くの個人事業主が廃業に追い込まれていると言われています。代表的な理由を下記にまとめました。
①ぎりぎりの資金でスタートした
②実はご自身の企業の業界・業種についての知識や理解が不足していた
③経営者自身の「人」としての人間力の限界が早くきてしまった
④経営の4大要素の一つである「人」に起因する問題があった
⑤経営者としての財務、経理面の知識と活用に明るくなかった
⑥思ったほど中・長期視野に立った営業力が伴わなかった
⑦人事的、法務的に思いがけないトラブルに見舞われた
⑧経営者自身が経営に対する熱意を失った
⑨経営者自身のみの思考や判断に基づいて進むことが多く、それぞれの分野における専門家の具申が少なかった(なかった)
⑩どうしても視点が営業活動、売上に集中しすぎてしまい、その偏重志向が数年経過しても変わらない
以上のようなポイントにまとめられます。今、このコラムを読んでいらっしゃる経営者様は、順調に経営をされていらっしゃる方も多いと思いますが、“一寸先は闇”という諺もあるので日々ご留意されていかれるとよろしいと思います。
まとめ
経営の4大要素である「人」、「物」、「お金」、「情報」、すべてのバランスが取れて初めて安定した経営が成り立ちます。経営者にとってこのバランス感覚が、企業活動を長期にわたり進めていくカギになります。その中でも、事業の良い流れをつくり、維持していくためには、経営者ご自身の「人」の要素と、従業員の皆さんの「人」の要素が、最も重要な役割を果たしていると考えています。 次回より「人=人財」を中心とした部分にフォーカスして執筆を継続してまいります。お楽しみに。
それぞれの経営者様の中で悩みごとがあり、個別にサポートを受けてみたい方がいらっしゃいましたら、下記の弊社メールアドレスまでご一報いただけましたらありがたく存じます。お申し込み順に、誠意を持って対応させていただきます。
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| 株式会社 サザンクロス 代表取締役社長 小田切 武弘 海外志向が強く、学生時代に海外留学を経験。学業修了後は、大手電気機器メーカーや飲料・食品メーカー、総合商社など数社にわたって、米国、インド、韓国、東南アジアといった諸外国に駐在。その中で、海外でのビジネスに苦戦する日本企業の存在を知り、自らのノウハウを提供したいという思いが芽生える。2017年7月7日、企業の海外展開のサポート事業、および国内・国際人事コンサルティングを手がける(株)サザンクロスを設立した。 http://sc-southerncross.jp/ |
