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Challenge+(チャレンジプラス)

コラム

BUSINESS CORE リズム 株式会社 代表取締役 齋藤 信勝
知識・スキル・ノウハウ―ビジネスを円滑に進めるための要素はさまざまあるが、真の成功者はそのビジネスに取り組むうえでの“マインド”を持っているものだ。そんな視点に基づき、多種多様な業界で活躍する経営者の中でも、ビジネスの「核」となりうるマインドを持つ人物にスポットライトを当て、読者が仕事と向き合う際の新たな気付きとなるような情報を発信するコラム企画。



1.現場から生まれた再生思想

――中古ワンルームマンションを仕入れ、再生から管理・運用まで一貫して手がけるリズム(株)。齋藤社長の現在に至るまでの歩みは?
 
不動産業界には18歳の時に足を踏み入れました。固定給があり、成果が評価される環境に魅力を感じたのがきっかけです。最初の仕事は不動産デベロッパーでの電話営業でした。その後、21歳の時に上司から声をかけていただき、新しく立ち上げる会社に役員として参画したんです。そこで仕入れ・販売・管理・採用など、会社運営のあらゆる分野に携わり、自分自身の手で事業を動かせるという実感を得ました。そして38歳の時に、独立を決意したのです。

――中古ワンルームマンションの再生を事業の主軸に据えた理由は?
 
新築ワンルームマンションの管理・運用に携わる中で、時間の経過とともに資産価値や家賃が下がり、最終的には売却が難しくなっていく現実を目の当たりにしてきました。その構造自体に強い課題意識を持つようになったのです。

背景には、「ものは古くなると価値が下がる」という世間一般の見方があります。しかし私は、時間が経っても家賃が保たれ、場合によっては評価が高まり、売却時にも“選ばれる物件”になり得る形があるはずだと考えました。中古物件を再生し、ブランドとして価値を育てていく――その仕組みを実現したいという思いが、現在の事業につながっています。

――不動産事業を通して、齋藤社長が大切にしていることは?
 
入居者の方が、楽しく、自分らしく暮らせる住まいを提供することです。ワンルームマンションは“寝に帰るだけの箱”になってしまっているケースも多く、そこに以前から違和感がありました。ファッションや車と同じように、住まいも「自分はこういう人間だ」と表現できる空間であっていい。そこで当社では、リノベーションの際にあえてつくり込み過ぎないことを意識しています。家具の配置や使い方を住む人自身が考え、楽しめる余白を残すことで、帰るのが楽しみになる住まいを目指しているんです。

実際に、当社の物件に住んだことをきっかけに、暮らし方が変化した入居者様もいます。以前は自宅で過ごす時間が長かった方が、「部屋をもっと良くしたい」と感じるようになり、家具や小物を工夫するようになった。さらに、同じコンセプトでリノベーションされた物件の入居者様同士が集まる場にも足を運ぶようになり、人と会ったり外出したりすることが楽しくなったと話してくれました。そうした入居者様は、部屋を丁寧に使ってくれます。住む人の暮らしへの愛着が、結果として物件の価値を守り、オーナーの満足にもつながっていく。私たちは、そうした自然な循環を大切にしています。

2.時間を経て高まる価値

――リノベーションをする時に大事にしている価値は?
 
「ロングライフリノベーション」という考え方を大切にしています。当社のリノベーションは、単に見た目を整えるものではありません。施工の際にはフルスケルトンの状態にし、給排水管まで含めて建物の状態を徹底的に確認します。そうすることで、雨漏りや構造的な問題も早い段階で把握でき、長く使い続けられる住まいへと整えることができます。

この考え方の中核にあるのが、“経年良化”という発想です。一般的には、建物は時間とともに劣化していくものと捉えられがちですが、素材や設計次第で、住まいは使い込まれるほど味わいを増していきます。当社では無垢材やモルタル、タイルなど、時間の経過によって風合いが深まる素材を積極的に採用しています。

古くなるから価値が下がるのではなく、使い続けることでその部屋ならではの良さが育っていく。住む人にとっては暮らしの積み重ねが表れる空間となり、オーナーにとっては長く選ばれ続ける部屋になることで、投資としての安定にもつながっていきます。

3.「正解」を押し付けない

――『「正解のない時代」の資産形成論~リノベ・ワンルームマンション投資で作るファン化社会~』を出版された齋藤社長。本書で一番伝えたいことは?
 
一番伝えたいのは、「決めつけないこと」です。人それぞれ状況も性格も異なりますし、不動産投資の形も本当にさまざまです。だからこそ、「自分に合ったやり方」を見つけてほしいと思っています。

最近は、「金利が上がったからこのやり方が正解」「ワンルームはダメで、一棟がいい」といった、極端な二項対立で語られることが多いと感じています。しかし本来は、タイミングや目的、人生設計によって選ぶべき選択肢は変わるはずです。本書では、そうしたグラデーションの中で考える姿勢を大切にしています。

私自身、20歳の頃に不動産を購入しました。当時は今以上に情報も少ない時代でしたが、自分で学び、将来を考えた結果、不動産という選択をしたんです。怖いから距離を置くのではなく、まずは知ることが大切です。この本を通じて、不動産を買ったり、検討したりすること自体は決して特別にハードルの高いものではないと感じてもらえたら嬉しいですね。

――事業を通じて、どのような未来を描いているか?
 
現在、当社はホールディングスという形で事業を展開しています。その根底にあるのは、「挑戦したい人が、一歩を踏み出せる土台をつくりたい」という思いです。経営者になりたいと考える人は多いものの、実際に行動に移すには、会社や周囲の支えが欠かせません。ホールディングス化は、メンバーに活躍の場を手渡すための仕組みであり、価値観を共有する仲間の挑戦を広げていくための基盤でもあります。

その延長線上にあるのが、街づくりの視点です。古いものを壊して新しい建物を次々と建てることだけが、街を良くする方法ではありません。新しいものと、丁寧に受け継がれてきた古いものが共存する風景こそが、街に奥行きと魅力をもたらすと考えています。住まいと暮らしに向き合い続けながら、時間を重ねるほどに魅力が増していく街づくりに、これからも取り組んでいきます。

『「正解のない時代」の資産形成論~リノベ・ワンルームマンション投資で作るファン化社会~』
齋藤 信勝

 
本書は、40年以上にわたりワンルームマンション投資と向き合ってきた著者が、自身の実践と思想を体系化した一冊である。中古ワンルームマンション1000戸以上のリノベーション実績と、入居待ちが生まれる賃貸ブランドの運営。その根底にあるのは、利回りを最優先する従来型投資とは異なる、「住む人の満足」から資産価値を育てるという発想だ。数字だけでも感覚だけでもない視点から、「長く持ち続けられるワンルーム投資」とは何かを問い直す一冊。:パノラボ (2026/3/2)
 
リズム 株式会社
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