コラム

キャンプやサバイバルに関するアウトドアスクールを主催しているイナウトドア合同会社の森豊雪代表が、アウトドアの魅力をお伝えする連載コラム。巨大地震などの大きな災害は、一生に2度来るか来ないかの周期で起こりうる。普段生活する中では意識しないからこそ、いざという時に備えた防災準備が肝要だ。今回は大きな災害の起こる確率や、日頃できる準備・対策について考えていく。
◎大きな災害の起きる確率について
「災害は忘れた頃にやってくる」。昔から言われている言葉ですが、みなさんの日頃の準備はいかがでしょうか?ちょうどこの原稿を書いている頃、青森で震度6強の地震がありました。その直後に北海道・三陸沖後発地震注意情報というものが初めて発表されました(2022年12月より運用開始)。これは、同地域でマグニチュード7以上の地震が発生した後に、さらに大きな後発地震が発生する可能性が通常時よりも高まるということで出されたものです。大きな後発地震の発生率は、通常時の場合0.1%で、注意情報が発令されている時は1%。この数字だけ見ると「なんだ。それだけか」と思うかもしれませんが、単純に10倍です。地震の予測確率は何十年といった単位で言われるため、ピンとこない方も多いと思います。100年のうちに起こるといわれても、「ああ、ほとんど起きないんだな」と感じてしまうことでしょう。
よく耳にする「南海トラフ地震」についても2024年に注意報が出されて、それに呼応したかのように閉鎖された海水浴場もありました。その「南海トラフ地震」が発生するとされている地域は過去100年から150年周期で大きな地震が起きています。1944年の「昭和東南海地震(M8.2)」、その2年後の1946年の「昭和南海地震(M8.4)」が同地区での巨大地震として直近のものとなります。すでに今年で80年は経過したことになりますので、100年に1度ということになれば、あと20年です。その前の巨大地震は1854年の「安政東海地震(M8.6)」と、その32時間後に発生した「安政南海地震(M8.7)」ですから、インターバルは90年ということです。いずれにしても人間の一生のうちに多くても2度来るか来ないかの長さなので、日頃の準備が後回しになるのは仕方のないことなのかもしれません。
先ほどの南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)は2024年8月8日に発表されました。このタイトルだけを見ると巨大地震が今にも来そうだと思ってしまいます。実際の気象庁が発表したものでは「南海トラフ地震の想定震源域では、 新たな⼤規模地震が発⽣する可能性が平常時と⽐べて相対的に⾼まっていると考えられます。今後、もし⼤規模地震が発⽣すると、強い揺れや⾼い津波を⽣じることが予想されます。※新たな⼤規模地震が発⽣する可能性は平常時と⽐べると⾼まっていますが、特定の期間中に⼤規模地震が必ず発⽣するということをお知らせするものではありません」ということでした。
人は恐怖を感じると必要以上の反応をしてしまうようになっていると聞いたことがあります。確かにいつもよりは地震の来る可能性が高まっているのかもしれませんが、先ほども書いたように、巨大地震のインターバルは非常に長いものです。一方で、いつ起こるかわからないということも事実です。巨大地震は100年~150年という周期で起きており、本当にいつくるか予測できません。また、熊本地震の時のように、大きな地震の後にまた同レベルの地震が起きたこともありました。それは、「余震は起きた地震以下の震度のものになる」とされていたこれまでの暗黙の常識のようなものが崩れたケースでもありました。
◎災害時の負担を減らすため日頃の準備を行う
大きな地震があると防災用品が売れるという場面がよく報道されます。その程度がどれほどかは不明ですが、一部の商品が売り切れになるというのをよく見ます。そのような報道を見ていると、「日頃の準備はどうされていたのだろう」と感じます。私の行っているスクールも大きな災害の後にお越しいただく人が増えるという傾向は少しあります。今、このコラムをご覧になっていらっしゃる方の日頃の準備はいかがでしょうか。年に1度の防災の日や、地域での防災訓練などは、その準備のために大変有意義ではないかと思います。非常持ち出し袋を準備したり、万が一家族と離ればなれになってしまった場合に落ち合う場所を話したりすることは、被災時の負担を下げることにもつながります。
私が推奨しているのは、防寒できるものを必ず持ち物に入れるということです。もちろん、赤ちゃんがいる、高齢者と一緒など、それぞれのおかれた環境で違いはあると思います。それでも防寒具は共通の必需品だと思います。
次に水でしょうか。これは重量もあるので持ち運びは難しいとは思いますが、やはり大切な持ち物です。特に小さなお子さんでも1日2リットル、3日分だと6リットルは飲むと思うので、そう考えると相当の重さです。
あとは食糧ですが、意外と長い期間食べるものがなくても人間の体は持つようにできているようです。日頃の貯えとしては「ローリングストック」という考えも良いと思います。日頃食べるものを少し多めに買い置きし、消費したぶんを常に補充しておくという考えです。非常食として売っているものは賞味期限などが長いのですが、それを定期的に食べる習慣をつけておかないと期限切れになってしまいがちです。ただ、水分を含んでいないものは傷みにくいので賞味期限が切れても大丈夫と聞いたことがあります。こればかりは、自己責任で食べるかどうか判断してください。
◎まとめ
話が防災対策のほうに行ってしまいましたが、元に戻しますと「災害は忘れた頃にやってくる」の気持ちを忘れないということが大切です。万が一の時に慌てないためにも、ご自宅の備えを今一度振り返る時間を設けてみてはいかがでしょうか。

| 森 豊雪 学業修了後はエネルギー関連の製造会社に入社し、30年以上にわたって勤務する。55歳を迎えて新しい道を模索。もともと趣味で活動していたアウトドア分野で起業することを決意し、イナウトドア(同)を立ち上げた。現在は、オリジナルアウトドアグッズの開発や、サバイバル教室などの展開、自然保護のボランティア活動に注力している。 ※保有資格 ・NCAJ 認定 キャンプインストラクター ・JBS 認定 ブッシュクラフトインストラクター ・日赤救急法救急員他 ■企業情報 イナウトドア 合同会社 〒238-0114 神奈川県三浦市初声町和田3079-3 ■URL https://www.inoutdoor.work/ ■X(旧Twitter) @moritoyo1 |
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