コラム

知識・スキル・ノウハウ――ビジネスを円滑に進めるための要素はさまざまあるが、真の成功者はそのビジネスに取り組むうえでの“マインド”を持っているものだ。そんな視点に基づき、多種多様な業界で活躍する経営者の中でも、ビジネスの「核」となりうるマインドを持つ人物にスポットライトを当て、読者が仕事と向き合う際の新たな気付きとなるような情報を発信するコラム企画。
1.変化した広告の在り方
――デジタル広告の内製化支援を手がける(株)メンバーズ フォーアドカンパニー。田中社長の現在に至るまでのキャリアは?
大学を卒業後、もともと独立への思いが強かったことからベンチャー企業に入社し、デジタルマーケティングに関わる全般の知識を培ってきました。そしてIT事業部の立ち上げに従事するとともに、Webを活用したプロモーション支援に携わり、その経験を基に独立したんです。数年ほど経験を積んでからは、広告宣伝費用の中でクライアントの事業の利益にどうインパクトを出せているのかが判然としないもどかしさを感じ、そのジレンマを解消するために事業会社へ移りました。そこでは経営戦略として、売り上げの落ち込んでいたブライダル事業の立て直しを手がけたんです。その過程が、現在の内製化ビジネスの原体験になっています。その後、この取り組みをさまざまな企業様に取り入れていただきたいという思いから、環境の整備された(株)メンバーズに入社しました。
――デジタル広告という分野に注力された背景は?
時代の流れに伴い、デジタル広告へのアプローチの仕方が変化したのが大きいと思います。従来は「広告はさまざまなユーザーに情報を届けるための一手段」でしたが、現在は「広告を起点に、よりマーケティングの上流を支援する」という流れに変わってきていまして。現代においてデジタル広告の施策を突き詰めることは、自社のマーケティング全体を見直すこととニアリーイコールになっています。そこで広告分野に重要性を感じたんです。
2.デジタル広告内製化の効果
――クライアントと関わる際、大切にされている点は?
(株)メンバーズのコア・コンピタンスとして「あたかも社員」という考え方があります。それは、クライアントの社員の方々以上に事業のことを理解し、受発注という関係性を超えたチームビルディングを行うこと。やはり上下関係ができてしまうと、指示を受けた通りの選択肢しか取れず、成果が出ないという悪循環に陥るケースも少なくありません。だからこそ、クライアントの社内に常駐して共に内製化と向き合い、プロジェクトを終えたらその達成感を皆で分かち合う、そうしたコミュニケーションのプロセス自体に価値があると思っています。
――デジタル広告の内製化支援のメリットとは?
まっ先に思い浮かぶのは、これまで代理店に依頼していたぶんの手数料が別の用途に活用できる、という点です。例えば1億円の広告費を支払っている場合、広告手数料の平均は約2000万円にのぼります。内製化を行えば、この2000万円の中からさらに広告費を追加して成果を高めることも可能です。端的に言うと、予算のポートフォリオが変わってくるんです。また、内製化は成果の向上にも効果があります。広告運用を外部に委託していると、月に1度送られてくるレポートで成果を確認することになります。成果を確認するタイミングが限られるため、改善のための新たな施策を実行するまでには、数ヶ月という長い期間がかかるんです。しかし、内製化するとそのデータの変動をリアルタイムで確認でき、「昨日数値が下がっているから広告を止めよう」などの対策がスピーディに行え、運用の手数を大きく増やすことができます。加えて、本来ブラックボックスであったデータがすべて社内に溜まっていくので、それを踏まえて新たなマーケティング活動に投資することもできます。
――AIの発達した現代のデジタル広告運用において、人はどのような点を大切にするべきか?
現代のデジタル広告はテクノロジーの発達で運用の平準化と自動化が進んでいます。そのため、代理店に委託していると戦略的な差が少なくなっていき、皆がいわゆる「勝ちパターン」を意識して似通った広告運用をするようになります。だからこそ、広告を運用する以前の「なぜこの商品を使ってもらいたいのか」「なぜこの商品を生み出したのか」という企業ごとの思想の部分に人間が向き合う必要がより一層出てくるんです。人間がストーリーを煮詰めていき、それを伝える段階ではある程度テクノロジーの力を活用する、という塩梅が現代における広告運用の在り方だと考えています。
3.“三方良し”の未来
――2026年2月24日に、『デジタル広告の内製化戦略 〜マーケティングは“インハウスファースト”の時代へ〜』という書籍を発売された田中社長。この書籍において最も伝えたい点は?
この書籍は、「デジタル広告の内製化をどう進めるのか」「そこにどういったリスクやメリットがあるのか」をまとめた、今までにない教科書的な1冊になっています。テクノロジーの変化で広告業界自体も大きなルールチェンジが起こっていますので、その変遷については、内製化を検討していない方にも知っていただきたいですね。本著はデジタル広告に焦点を当てていますが、これはマーケティング戦略全体にも深く関わってきます。現状の体制やポートフォリオの在り方を見直すきっかけにもなると思いますので、ぜひ全経営者の方に読んでいただきたいですね。
――田中社長が思い描く、デジタル広告の内製化が普及した先の未来とは?
マスコミュニケーションの流れをくんでいたことから、従来のマーケティングには、「企業側からの一方通行な発信」や「他社との競争」という価値観がありました。しかしデジタル技術が発展した現代では、むしろ「発信する企業側がユーザーと共に価値を創っていく」という考え方が主流になっています。内製化が広まり、プロモーションの手法やポートフォリオが変化した時、そこに生じるメリットはユーザーも享受できるものです。企業側が配信した広告を見てユーザーが反応し、さまざまな声が上がることで新たな商品が生み出される。そして企業側もこれまで競合だった他社と連携してさらに良い商品をつくり、ユーザーに還元する。この「価値の共創」のもたらす“三方良し”の未来こそが理想だと思います。私達も事業を通じてその未来をつくる支えになれれば嬉しいですね。
『デジタル広告の内製化戦略 〜マーケティングは“インハウスファースト”の時代へ〜』田中 秀和 AIと自動化の発展により、デジタル広告はすでに「専門家だけの領域」ではなくなった。従来は「改善が遅い」「ノウハウが社内に残らない」などの問題を抱えながらも、「広告は代理店に任せるもの」という前提があった。本著はその前提がもはや通用しない理由を明確に示す。これまで長年デジタル広告に携わってきた著者が、内製化支援についてわかりやすく解説した教科書的1冊。:パノラボ (2026/2/24) 株式会社 メンバーズ フォーアドカンパニー 〒104-6037 東京都中央区晴海1-8-10 晴海アイランド トリトンスクエアオフィスタワーX 37F 発行:株式会社フォーウェイ 発売:株式会社パノラボ ご購入はamazonから |
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