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コラム

ヒップホップ界と不動産業界のトップが対談 挑戦する意義や行動することの重要性を語り 日本の子どもたちのために未来をつくる

日本のヒップホップを語るうえで欠かせない存在であるトップアーティスト AK-69氏と、これまでになかった独自の発想で不動産業界をけん引する日本リアライズ(株)の大橋社長。2人は、活動する分野は異なれど、「子どもたちのための未来をつくりたい」という同じ思いを共にする、同志とも言える関係だ。深い信頼関係で結ばれた旧知の2人に、AK-69氏の楽曲の魅力や大橋社長の事業にかける思い、共通する志などについて語ってもらった。

日本リアライズ 株式会社 代表取締役
大橋 孝行

大学卒業後、東京リコー(株)に入社。トップセールスマンとして活躍した後、30 歳で不動産業界に転身し、2009年に日本リアライズ(株)を創業した。以来、ライフプランの提案を通じた住宅販売により着実に業績を伸ばす。2018年頃からは「ライフメイクプランナー」として、人生100年時代における理想の人生設計に積極的に貢献。2022年11月に(一社)人生診断協会を設立し、今までにない新たなマイホーム販売の形として新規事業「ライフメイクパートナーズ」を推し進め、その加盟店を増やすべく尽力している。


ヒップホップアーティスト / 実業家
AK-69

1999年にレゲエDJのB-ninjahとコンビを組み、名古屋のシーンを中心に活動。2004年にKalassy Nikoffとして、2005年にはAK-69名義でのCDデビューを果たす。その後2012年、武者修行のためニューヨークへ渡り音楽制作に注力。2014年に日本武道館でのワンマンライブを開催し、2015年には自身が代表を務める「Flying B Entertainment」を設立する。同年4月にアメリカの名門レーベル「Def Jam Recordings」と契約して以降、2020年に名古屋城、2022年には鈴鹿サーキットでの配信ライブを開催するなど、前人未到の挑戦を続けている。


挑戦する人を後押しするAK-69氏の楽曲

――まずはお二人の出会いや、お互いの印象について教えてください。
 
大橋 出会いのきっかけは、元プロボクサーの八重樫東さんが3階級制覇を達成した試合を観戦したことでした。入場シーンの際にAK-69さんが生パフォーマンスで披露していた『Flying B』という曲を聴き、「こんなカッコいい男がいるのか」と瞬時に心を撃ち抜かれたんです。当社はアスリート支援を手がけていて、八重樫さんとも親交があったので、すぐに頼み込んでAK-69さんとの食事の席を設けてもらい、そこから徐々に親交を深めていきました。

AK-69 八重樫さんは、プロボクサーとしてデビューした当初から私の曲を入場曲に使用してくれていたんです。私が2004年に「BAGARCH」というアパレルブランドを立ち上げて、まだ愛知県の春日井市に店舗を構えていた時に、その店へ八重樫さんのマネジャーから電話をいただいたことが交流のきっかけでした。大橋社長とは出会ってから、もう8年ほど経っていますよね。社長は出会った頃から非常にパワフルで、情熱にあふれる方でした。日本リアライズ(株)さんにあるジムにも行かせていただいて、一緒にボディ打ちをやりましたね(笑)。とても懐かしいです。

――長い時間をかけて信頼関係を築いてこられたのですね。AK-69さんの曲は、大橋社長のような経営者や、アスリートからも多くの支持を得ていますが、大橋社長はAK-69さんの曲のどのような点に魅力を感じていらっしゃいますか?
 
大橋 AK-69さんの曲には、逃げたくても逃げられない状況の中で闘う人を鼓舞したり、目標に向かって努力する人を応援したりする熱いメッセージが込められたものが多いんです。AK-69さんの曲に出合った頃は、ちょうど私が会社で新しい事業を始めていた時期で、すべてを投げうってでもやり遂げたいという思いがあったので、タイミング的にも胸が熱くなりました。おそらく、同じように励まされている経営者の方も多いのではないでしょうか。

AK-69 そう言っていただけると嬉しいです。きっと、私自身が同じように苦しい状況で闘ってきた経験があるからこそ、経営者の方々に共感していただけているのではないかと思っています。例えば私は2015年頃、「AK-69もここまでだ」という評価を世間や音楽業界から受けていましたし、前に所属していた会社からも、見放されてはいなかったものの、「今までみたいなサポートはできない」という空気をつくられているような状況でした。先ほど大橋社長が紹介してくださった『Flying B』という曲は、そうした窮地の中で一念発起し、マネジメント事務所である「Flying B Entertainment」を立ち上げた時に制作したものなんです。あの曲には、「1%でも可能性があるなら、次のステージに挑戦してやる。絶対にやってやる」という強い決意が込められているんですよ。

――前述しましたようにAK-69さんの曲はアスリートの方々にもよく聞かれており、八重樫さんの他、同じく大橋社長と親交のある内山高志さんも現役時代は入場曲に使用されていました。大橋社長は、AK-69さんの曲がアスリートに支持される理由は何だとお考えですか?
 
大橋 私も以前はボクサーとして、世界の舞台を目指して練習に励んでいましたから、アスリートの方の気持ちには共感するものがあります。アスリートの方々は自分を極限まで追い込んだ先の「あと1ミリ」というところまで努力しなければいけない世界に生きていますよね。「あと1ミリ」を努力できる人が、優れた成績を残し、チャンピオンになれる。それは、並大抵の努力では到達できない領域なんだと思います。そうした「あと1ミリ」を支えてくれるものがAK-69さんの曲に込められているからこそ、多くのアスリートの方が入場曲に使用したり、練習の時に聞いたりしているのではないでしょうか。例えばAK-69さんの曲の中に『もう1ミリ』というものがありますが、あの曲はまさに、妥協してしまいそうな自分に追い込みをかけ、限界を突き抜けた先の「あと1ミリ」を踏ん張るための名曲です。やはりAK-69さんの曲には、挑戦する人の魂に響く魅力があるんです。

AK-69 とても光栄なお言葉です。実は私としては、経営者の方やアスリートの方といったふうに、具体的なターゲットを決めて曲をつくっているという感覚はないんです。しかし、「たった1人で孤独にさいなまれる瞬間もたくさんあるけれど、それでも、やるしかない」――そうやって気持ちを奮い立たせている方は、どのような職業や立場でも必ずいると思います。私は、単なるポーズで曲を書いているのではありません。だからこそ、そうした熱意を持って挑戦している方々に私の気持ちが届いているというのは、その意味では当然のことだと感じますね。

「夢にBET」してアスリートを支える

――先ほど大橋社長がおっしゃったように、日本リアライズ(株)さんでは、アスリートの方々への支援を行っています。AK-69さんは、そうした大橋社長のご活動についてはどのように思われますか?
 
AK-69 私にはアスリートの友人がたくさんいますが、アスリートの中でも、競技だけで安定した生活ができているのはごく一部だと思うんです。一流になれるまでは別の仕事もしないといけないですし、練習環境の整備やボディメンテナンスにも費用がかかってきてしまいます。だから大橋社長のように、アスリートの方々を陰ながら支え、集中して練習できる環境をつくり出してくれる存在というのは、非常に大切だと感じます。何より大橋社長は、井上尚弥さんや八重樫東さんが活躍する前から、彼らの所属元である大橋ボクシングジムを長年サポートしていますよね。だから宣伝効果のためではなく、これから成長していくであろうアスリートを支えたいという純粋な思いが根底にあるんだと思うんです。それは言うなれば、「夢にBET」するということ。自社で上がった利益を他者の夢のために使うというのは、とても素晴らしいことです。

大橋 ありがとうございます。確かに今手がけている現役アスリートへの支援も大切です。しかし、アスリートにとって本当に支援が必要なのは、現役時代よりも引退後だと思っています。特にボクシングは、例え日本チャンピオンクラスになっても、辞めた後は見向きもされないというケースも珍しくありません。ですから将来はボクサーに限らず、野球選手やサッカー選手についても、彼らが積み重ねてきたキャリアを生かせるような、セカンドキャリアのサポートも手がけたいですね。

覚悟を決めて努力するということ

――大橋社長が弊誌の2021年11月号で行った大橋ボクシングジム・大橋秀行会長との対談の中で、「好きな言葉は『覚悟』と『努力』であり、『覚悟を決めて努力をする』ことが何よりも大事だ」とおっしゃっていたのが印象的でした。
 
大橋 やはり覚悟と努力は大切で、何か知識を得ても行動をしなければ意味がないと思っています。お客様にマイホームをご提案する際にも、マイホームを購入することで実現できる未来をご説明したうえで、「知識を得ていても、実際に動かないと何も知らない人と一緒になってしまう」ということを常にお伝えしているんです。しかし、「勉強になりました」という決まり文句で、マイホームの購入を躊躇してしまう方も少なくありません。そのため、お客様に決断を促すためにも、私自身が覚悟を持って行動している様子を見せるようにしています。これは従業員を始め、私の周囲の人たちに対しても同様です。人のカッコよさは、何より行動にあらわれるものだと思うんですよ。

AK-69 それは私も同感です。やはり行動に移せない人は、覚悟が足りないのではないでしょうか。しかし、逆に覚悟を固めていても実際に行動しなければ、何もしていないのと変わりません。人間というのは、夢を持つのは簡単だし、それを実現するために必要な行動も自分でわかっているものです。けれど、実際に目標に向かって行動できる人は少ない。自分の視点を定めながら覚悟を決めて行動する。これほど重要なことはないと感じます。

日本の子どもたちへ未来をつなぐ

――AK-69さんが2022年4月に行った武道館ライブの中で放った「本当は、日本人は強いんです」という、付和雷同な今の日本の大人たちに警鐘を鳴らし、子どもたちの未来を案ずるようなメッセージに大橋社長は強く共感されたとうかがいました。
 
大橋 ええ。子どもたちの未来を守っていきたいというメッセージを、あれほど強く発信したアーティストはなかなかいないと思います。私も常日頃から「すべてのエンターテインメントと仕事は、この世界の未来をつないでいく子どもたちのためにある」という理念を発信しているので、ジャンルは違えど、目指す道は一緒なのだと感じました。

AK-69 ありがとうございます。私が武道館ライブでああいうメッセージを伝えたのは、生まれ育った日本を愛しているからというのはもちろんのこと、自分に子どもができたからというのも大きかったですね。日本経済の停滞やその原因となる国民性などについては、以前から懸念を抱いていましたが、実際に子どもを育てていくにつれて、そうした問題がより現実のものになっていったんです。「日本の現状を放っておいたら子どもたちがかわいそうだ」と、強く思うようになっていったんですよね。

大橋 私も「子どもたちにとって最高の環境づくりがしたい」という思いで取り組んでいるのが、当社のライフメイクパートナーズ(※「人生100年時代」における、顧客の真のニーズを引き出す独自のマイホーム販売事業)という事業ですから、その気持ちはよくわかります。最近の子どもたちの自己肯定感が低下しているのは、子育てにとって最適な環境が整えられておらず、親が正しい愛情の伝え方をわかっていない点にあると思うんです。もっと具体的に言えば、生活環境の不安定さから、子どもの自己肯定感を高めるために必要な「抱っこ」の機会が失われ始めていると感じます。特に近年の若年層の夫婦には、子育てに必要なお金と時間と心の余裕がなくなりつつある気がします。豊かな家庭をつくるには、まず家計と住環境の最適化が必要です。そしてその実現には、賃貸ではなく、マイホームを選択するのが最適だと考えています。これからもその思いを、より多くのご家庭に発信していけたら嬉しいですね。

AK-69 大橋社長のご活動はとても大切だと思います。きっと、マイホームのためにローンを組むのが大きな負担だと考えている方が多いと思うんですよ。マイホームを購入するための金額は確かに大きいし、負担のかかるものかもしれないけれど、月々の支払いに換算したら賃貸とあまり違いはありません。それに何より、どこかに住むっていう選択肢が人生から失われることは絶対にないですからね。家のことに限らず、何かに挑戦することを控えてでも負担を少なくしたいという方はいると思うのですが、そうした選択が人生を豊かにする機会を逃しているかもしれません。背負うものがあると視野が変わる、というケースはたくさんあると思うので、大橋社長の思いが広まっていってほしいですね。

――最後に、お二人がお互いの今後に対して期待することがあれば、ぜひお聞かせください。
 
大橋 最近はAK-69さんのライブも曲も、毎日2回は見て、聴いています。それに、知り合いの経営者にお会いするたびにAK-69さんのライブ映像を見せて「お金もうけよりも、子どもたちに向けてどうするかを一緒に考えましょう」と熱心に話しているんですよ。私にとってAK-69さんは、尊敬の念が強すぎる存在です。だからこそ、私としては今後AK-69さんと組んで、子どもたちのために世の中を変えられるような挑戦ができればいいなと思っていますよ。

AK-69 そんなことを言ってくださるのは大橋社長くらいですよ(笑)。何より大橋社長は、このような「子どもたちのために」という目的意識が明確で、日本の未来を明るく照らすご活動をされていると思います。私たちアーティストの活動も同じで、ただお金を稼ぎたいという動機ではなく、お客さんを動員した先にあるもの、チケットや曲を売った先にあるものを追い求めているんです。そうして一つひとつの要素を安定して循環させることが、サステナブルな社会づくりにつながるんだと考えています。私が偉そうなことは言えませんが、ぜひこれからも大橋社長には不動産業を通じて円満なご家庭をつくり、子どもたちの笑顔を増やしていっていただきたいですね。

取材:徳永 隆宏
文 / 構成:木村 祐亮
撮影:竹内 洋平