コラム

アメリカ帰りの二代目女性社長は、いかにして昭和的経営の町工場を海外販売比率20%超のグローバル企業に変革できたのか。先代や古参社員から軽視され猛反発を受けながらも、ゼロから挑んだ経営改革の数々。二代目社長が会社を変えるヒントがここにある。
アメリカ留学からの帰国後、父が経営する医療用ステンレスチューブメーカーに入社した著者は、昭和のままの会社のあり様に衝撃を受けた。パソコンが1台しかないオフィス、ベテラン社員の腕と勘に頼った製造技術、得意先からの受注待ちの営業スタイル。会社はいつ倒産してもおかしくない絶望的な状態に見えた。入社以来、強い危機感を抱き続けていた著者は、2014年の社長就任後にすぐさま改革に着手。古参社員の抵抗や社員の大量退職、初の赤字転落などさまざまな困難に直面しながらも、「残ってくれた社員たちを必ず幸せにする」という強い覚悟を胸に、次々と改革を推し進めていった。本書は、家業を引き継いだ二代目経営者が、アメリカ帰りかつ女性という強みを生かしながら、旧態依然な町工場をグローバル企業へと生まれ変わらせた軌跡をつづっている。高度経済成長期に創業した中小企業の多くで事業承継が進む中、次世代経営者が会社を変えるヒントを得られる一冊だ。
《著者Q&A》
■この本を出版しようと思われた理由・動機を教えてください
私が手島精管(株)に入社してからの改革活動、改善活動を著書にして共有することで、少しでも中小企業の皆様のお役に立てればと思ったことが出版の理由です。
■この本を通して読者に伝えたいことを教えてください
経営者は、大企業であれ、中小企業であれ、課題解決の日々を送ることと思います。理不尽なことも毎日のようにあります。でも、その状況を興味深く楽しんで過ごしていただきたいと思います。
■この本のポイント・読みどころを教えてください
女性、地方、海外大学出身と、マイノリティづくしの私でしたが、強い意志を持って目の前の課題解決を積み重ねることに没頭し、得られた結果をご覧いただきたいです。
■企業において伝統と革新は両立し得ると思いますか?
はい。弊社も実際、製法は伝統的に、経営は革新的に運用しております。
■経営者としてお仕事をするうえで特に大切にされていることがあれば教えてください
Be Consistent
■経営者もリスキリングが必要だとお考えですか?
はい。私も入社後7年が経過した2008年にMBAの取得を決断しました。当時は組織のトップではありませんでしたが、組織をリードする者にとっては、常に、世界の動向、業界の状況を知るための知識や、経験が必要だと思います。
■本誌の読者宛にメッセージをお願いします
中小企業という枠にとらわれず、各企業様にとってBESTな状況を生み出していただきたいと思います。ビジネスマインドを持って、中小企業の底力を発揮していただき、大いに収益を上げて、その収益をステークホルダーの方々へ分配することで、ご成長していただければ幸いです。
![]() 1972年、群馬県生まれ。1996年に渡米し、ESLで英語を学んだ後、ノースイースタン大学にてビジネスの基礎を学ぶ。2002年に手島精管(株)に入社。7年間の現場改革を経てより深いグローバル経営の知識を得るために2008年に再渡米し、ハルト・インターナショナル・ビジネススクールに入学。翌年MBAを取得。帰国後の2014年に代表取締役社長に就任し、数々の組織改革を行う。2017年には地域未来牽引企業に選定された。「ニューズウィーク日本版」「日本経済新聞」など多数のメディアで今まで行った改革が取り上げられた。 発行:幻冬舎メディアコンサルティング URL https://www.gentosha-mc.com/ 発売:幻冬舎 URL https://www.gentosha.co.jp/ |