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コラム

海外ビジネスの指南役! 小田切社長の連載コラム.23

「海外展開を進めていくうえで、特に現地の人の気質やものの考え方が知りたい」。そんな声にお応えして、海外ビジネスの経験を豊富に持つ(株)サザンクロスの小田切社長が、世界各国の国民性を解説!より良い人間関係を構築することは、ビジネスの大きな成果へとつながるはずです。第23回は、米国における代表的なビジネス習慣や商慣習についてご紹介します。

皆様、こんにちは。(株)サザンクロスの小田切武弘です。本誌の2020年9月号から、海外でビジネスを進める際の現地ローカルスタッフへの接し方や、仕事の依頼の仕方、コミュニケーションの取り方などにフォーカスしたコラムを連載し、前回のシリーズでは皆様から特にご要望が多かったタイ国関連から、韓国、米国、中国、インド、ロシア、アラブ諸国と連載を続けてまいりました。

前回は海外赴任をした際にどうすれば仕事や日常生活をうまくこなせるのか、筆者なりの結論を総集編としてお伝えしました。今号よりタイトルも新たに、読者の皆様からご要望が多い「海外の国々における代表的なビジネス習慣・商習慣」について述べてまいりたいと存じます。今号では米国、続いて豪州、シンガポール、中国、韓国、インド、タイ、UAE、トルコ、ドイツ、ロシアを今のところ予定しています(ご要望の国がありましたら、可能な限りお応えいたします)。

①積極的な意思決定

米国のビジネス上の会議では法律を遵守し、それらの条件・内容に沿ったうえで、その都度迅速な意思決定を行う必要があります。業界や地域などによっても当然温度差はありますが、米国のビジネスの会議の時間はおおむね長くはありません。多くの場合は会議で取り上げるアジェンダ(討議項目)を事前に明らかにし、社内であっても取引先であってもお互い対等ということを意識し、真摯で積極的な意見交換を行い、5W1Hを明確に決めようと試みます。また会議の司会、進行役の方が強いリーダーシップを発揮し、結論を出しやすい項目から進め意思決定をその場で行っていく傾向が強くあります。多くの日本企業のように「本件は本社に一旦持ち帰って関係者で検討し、上司、会社の了解を得てから回答します」という発言は多くの場合には歓迎されません。それならば事前に社内でコンセンサスを得て、なおかつ意思決定ができる決定権者に会議に出席してもらえるように調整をし、会議に臨むことを指摘されることもあります。ここでもう1つ重要なことは、米国の企業はそれぞれの役職・職位やその担当者の職務内容(JOB DESCRIPTION)が明確で、特に数字の部分ではいくらまでであれば本人が決定できるか否か役職権限(ADMINISTRATIVE AUTHORITY)が明確に決まっているということです。

②シビアな競争社会

米国の場合、どのような業界、業種、企業であっても会議をする目的は明確です。不具合や不足部分を改善したり、営業数字を上げたり、そのビジネスを成功に導くことを強く意識しています。したがって前述した5W1Hを明確に求め、特に会議の後で決まった(約束した)期間内において数字や成績の部分により注視します。その際、目標数字や結果が達成できなかった場合には言い訳(エクスキューズ)は、ほぼ一切認められません。必ずフィードバックを行い、簡潔に問題点や改善点を明確に話すことが求められます。それでも結果や成果が伴わなければチャンスを失うことにもつながります。これは一般的なビジネスに限らず、プロ野球のメジャーリーグなどの他業界でも同様です。したがって短い期間で求められる成果や結果を出せる(出し続ける)人しか成功と呼べる報酬を受け取ることはできない厳しい世界です。また今まで自分のやってきたことや、大学や他企業でのキャリア、実績や得意分野、自己能力をアピールしなければスタートラインにすら立たせてもらえないのも現実です。これは言い換えれば、自分と向き合うという意味での競争社会でもあります。

③すべてを文書化すること

米国でのビジネス習慣では、多くのことをすべて文書化し、契約書、同意書という書面にきっちりと落とし込みます。これは企業において会社サイド、個人サイド双方にとって重要になります。個人にとっても高額な報酬を得る保証書にもなりますし、会社側もその個人に「何を・どれだけ・いつまでに・どの程度求めるのか」の条件を明確に記載します。日本企業では、文書化されない部分については暗黙の了解によってある一定の落としどころに持っていく場合もありますが、米国では交わされた文書によって白と黒がはっきりと付けられます。非常にクリアではありますが、そこには言い訳や温情、議論の余地は存在しません。筆者もサラリーマン時代に米国の企業で勤務をさせていただき、良い意味で、米国におけるビジネスの厳しさを学ばせてもらいました。また数字や結果、成果だけを出せばそれでよいのであろうと思いましたが、実はそれだけではないことにも気付かされました。

④T・P・Oと会話力

業界、業種、企業によっても異なりますが、米国のビジネス習慣・商習慣では基本的にインフォーマルな雰囲気がベースとなります。自分より年長者や上位職の方であっても、多くの場合はお互いをファーストネームで呼び合います。これは、お互い対等という意識から来ているそうです。また政府高官や米国議会などの公職者以外では、男性はスーツを着てネクタイを締めていれば問題はありませんし、普通のビジネスカジュアルな服装でも多くの場合には構いません。また、服装に戸惑うことがないように、会議の際のドレスコードを示してくれる場合もあります。レストランでの食事やビジネス上の食事の場合でも、レストランスタッフや企画主催者からドレスコードを示される場合が多くなっています。要はT・P・Oによって変えていくということです。

会議でも食事でも、大切なことは最低限の言葉遣いやナイフ・フォークの使い方などの礼儀作法です。また、相手を敬って信頼し、より簡潔でストレートなコミュニケーションを取りながら打ち解けた雰囲気をつくることも重要です。そして実務的、効果的、友好的にお互いが良い結果を出すことに努力します。ただし、「人種のサラダボウル」と呼ばれる米国社会において、特に相手の家族やプライベートや政治、宗教、人種などについての質問はできる限り回避し、相手のパーソナル・スペースを確保しながら、ある一定のボーダーラインを超えない上手なビジネストークをすることに気を配ります。

また米国では「口約束もちゃんとした約束」という価値観があり、それをきちんと守って初めてお互いの信頼関係ができるものと判断されます。そうした繊細なやり取りを確実に行うために、日本のビジネスパーソンは、日本で受ける学校英語ができた上で、ビジネス英語での会話ができることに越したことはありません。

いかがでしたでしょうか。米国でビジネスを行う場合には相手とのコミュニケーションの流れの中で、きちんと自らの意見をはっきりと伝え、お互いの納得や合意を1つずつ積み上げていく積極的な姿勢が求められます。やはり正々堂々と明るく、相手を尊敬し理解し、またそれを口に出してきちんとプレゼン、会話ができるようになっていきましょう。次回は豪州のビジネス習慣や商習慣について述べて参りたいと思います。どうぞお楽しみに。

※一昨年より海外出張、海外赴任前にビジネスパーソンとしての国際教養研修を希望される企業様が多く増え、引き続き当社として対応させていただいております。ありがとうございます。海外案件だけではなく、国内営業や人事管理処遇についても効果的な見直しを図るタイミングでもあるので、検討されていらっしゃる場合、あるいは希望の企業・団体様がいらっしゃる場合には、引き続き当社ホームページのお問い合わせ欄よりご希望をお聞かせください。

■プロフィール
株式会社 サザンクロス
代表取締役社長 小田切 武弘

海外志向が強く、学生時代に海外留学を経験。学業修了後は、大手電気機器メーカーや飲料・食品メーカー、総合商社など数社にわたって、米国、インド、韓国、東南アジアといった諸外国に駐在。その中で、海外でのビジネスに苦戦する日本企業の存在を知り、自らのノウハウを提供したいという思いが芽生える。2017年7月7日、企業の海外展開をサポートする(株)サザンクロスを設立した。
 
http://sc-southerncross.jp/

 
 

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