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コラム

Special Voice 弥生 株式会社 代表取締役 前山 貴弘

弥生 株式会社
代表取締役 前山 貴弘

 

低迷する日本経済、戦争や環境問題など、混迷する現代社会において、各分野で挑戦を続け、わが道を歩んでいる方々の言葉を通して、一歩を踏み出したい読者の背中を後押しする企画。前後2回にわたり、バックオフィス領域における業務ソフトウェア業界の大手である弥生(株)の前山社長に、2023年10月に発表された新ブランド「弥生 Next」や、インボイス制度の影響などについて語ってもらった。

 
――まずは、弥生(株)様の事業概要について教えていただけますでしょうか。
 
当社は、中小企業の皆様および個人事業主の方々に会計・商取引・給与計算などのバックオフィス領域の業務ソフトを提供しており、中小企業の皆様と深い関係にある多くの会計事務所にもご使用いただいております。当社の業務ソフトの中でメインとなるのは、「弥生会計」という会計ソフトです。その他に個人事業主向けの確定申告ソフトや、多くの事業者様が必要とする給与計算や販売管理をするソリューションを提供しています。それらの製品は会計事務所や事業者様から「使いやすい」という評価をいただいておりますが、誰もが使いこなせるソフトというわけではありませんでした。そこで、バックオフィス業務に知識のないお客様でも確実にお使いいただけるように、当社では業界最大規模となる690席数のカスタマーセンターを用意しており、業務に精通した専門スタッフが、製品の導入や操作方法から、業務の相談までお答えいたします。そのようなサポートを行い、当社の製品を安心してお使いいただきながら、会計や給与計算、販売管理といったバックオフィス業務をより効率的に行っていただくというところが当社の事業の根幹となっております。

――2023年10月に発表された新ブランド「弥生 Next」についてもご説明ください。
 
いまお話ししましたように、当社の事業はこれまで、あくまで業務ソフトを通して、お客様のバックオフィス業務を効率化する、というのが一番の目的でした。例えるならば、以前はそろばんを使っていた方々が電卓を用いるようになり、電卓を使っていた方々がExcelで複数の情報を管理するようになる。そうすることで、それまで5時間かかっていた業務が3時間になり、1時間になる、といったふうに効率化されます。それと同様に、手書きでやっていた仕事をExcelで行うようになり、さらには会計ソフトを使うようになることで業務効率化を図るという部分に重きを置いてきました。おかげさまで、当社のソフトをお使いいただいている会計事務所の皆様や事業者の皆様からは「会計や販売管理などの業務がかなり効率化できた」というお声をいただけるようになったのです。会計ソフトの分野で扱っている情報・データと、販売管理のソフトが扱っている情報・データは密接に絡んでいますが、これまでは当社の製品の在り方として、それらを別々に提供してきました。他方、「弥生 Next」はクラウドサービスベースであり、バックオフィス業務全体で関係するデータ同士をつないでいくことによって効率化し、究極的には「入力のない世界」を目指すサービスになります。「会計」「販売管理」などの基幹となる業務を統合し、情報の一元化を図るシステム、いわゆるERPを実現し、大企業だけではなく中小企業の皆様にも使っていただけるサービスを実現したいと考えています。いわば、これまで当社が提供してきた製品とはまったく別次元の圧倒的な業務効率化を追求するというのが「弥生 Next」の第1の特徴になります。もう1つの特徴は、当社が過去に取り組んでこなかった分野への挑戦です。具体的には、「弥生 Next」によってお客様の業績を上げるお手伝いをさせていただこうと考えています。

――なるほど。その「弥生 Next」を立ち上げられてから約半年になりますが、反響などはありましたか?
 
そうですね。まずは業務効率化の面で反響がありました。現在、「弥生 Next」として提供しているサービスは「弥生給与 Next」と「やよいの給与明細 Next」の2つですが、カスタマーセンターにおけるお客様とのやり取りなどを通じて、クラウドサービスへの注目がかなり高まっていると感じます。クラウド化に対応している別のサービスを導入されていて、それに伴って当社のオンプレミスの製品から「弥生給与 Next」へ移行されるお客様が、われわれの想定を上回る数いらっしゃいます。また、業務効率化のもう1つの観点として、年末調整のやり方が挙げられます。年末調整というと、これまではさまざまな紙が飛び交っている状態だったのではないかと思いますが、その点を最新の法改正にのっとりながらデジタル化する機能も提供していますので、ペーパーレスやデジタル化に関する評価や反響も一定数いただいております。

――近年、あらゆるところでデジタル化が注目されていますが、スモールビジネスにとって、バックオフィス業務をデジタル化することでどのようなメリットがあるとお考えですか?
 
数多くのメリットがあると思いますが、それ以上に、バックオフィス業務がスモールビジネスに与えるインパクトが大きいと私は考えているんです。大企業ですと、もちろん数としてのインパクトはあるにせよ、どうしても全業務のうちの1つという扱いになります。他方で中小企業、いわゆるスモールビジネスの皆様ですと、例えば社員が10人の会社でそのうちの1人があるバックオフィス業務を行うと、少なくとも1/10のインパクトになる。さらにその1/10には周辺の方々も関わってきますので、必ず1/10以上のインパクトになるはずなんです。そのように考えますと、スモールビジネスの方々に与える総体的なインパクトというのは本当に大きいと思いますし、そうした観点からもバックオフィス業務のデジタル化というのは取り組む価値のあることだと感じています。

(後編に続く)
 

前山 貴弘
 
1977年生まれ。プライスウォーターハウスクーパース税務事務所(現PwC税理士法人)にて国内およびクロスボーダーの税務コンサルティングに携わる。2007年弥生(株)入社、2011年退社。その後、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー(同)にて日系企業の海外子会社再建、国内事業再編等の支援業務に従事。2020年に再び弥生(株)に入社し、取締役管理本部長に就任。2023年より代表取締役社長執行役員。税理士・公認会計士資格を保持。
 
<会社情報>
弥生 株式会社(本社)
〒101-0021
東京都千代田区外神田 4-14-1
秋葉原 UDX 21F
 
https://www.yayoi-kk.co.jp/

 
 
 

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