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コラム

~障害者雇用コンサルカウンセラーが贈る~ 職場で使えるやさしい心理学 Part1
社会に出たものの周囲とのギャップから生きづらさを感じたり、仕事でトラブルに巻き込まれてしまったりする軽度知的障害者や発達障害者が年々増えている。その中で、「障害者雇用カウンセラー」として障害者の就労サポートや、家族や周囲の人を含めたメンタルヘルスケア・カウンセリングを手がけているのが、「minoritas Lucet」の代表、宮田満代氏だ。当コラムでは、軽度知的障害児の育児やそううつ病を経験した同氏が学んできたメンタルヘルスや心理学の知識、さらには障害者の特徴や思考パターンなどを紹介していく。

1.はじめに

皆様、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。私は障害者雇用コンサルカウンセラーの宮田満代と申します。「COMPANY TANK 2021年5月号」で取材を受け、そのご縁で今号からコラムの執筆をお任せいただくことになりました。当コラムでは、障害者雇用のお話はもちろんのこと、経営者の皆様のお役に立てるメンタルヘルスのお話を幅広くお届けできればと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

始めに自己紹介をいたしますと、私は障害者雇用コンサルタントとして活動しつつ、軽度知的障害児・発達障害児の育児カウンセリングも手がけています。私がこの仕事に就いたのは、長女がアスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)と診断を受け、さらに次女が軽度知的障害と診断を受けたことが発端でした。そして、私自身も長い間うつ病と向き合い、その中でメンタルヘルスの大切さを実感してきました。

重度知的障害ではない、「軽度知的障害児」を専門に発達育児相談ができる場所は、なかなか見つかりません。発達障害児の相談窓口は最近になって増えてきましたが、私の娘が診断を受けた十数年前には発達障害児の特徴というものがそもそも認知されていなかったと記憶しています。その状況を改善すべく、私は心理学の勉強を始めたのです。

また、都立特別支援学校のPTA会長にも任命していただき、社会で障害者が雇用戦力になるためには、子どもたちの療育の元となる「保護者の心の安定」と社会に出た後の生活基盤の元となる「働く場所の理解」、これら2つの総合的な支援が必要だと感じた次第です。

2.障害者雇用コンサルカウンセラーとは

2021年3月より、障害者の法定雇用率が2.3%まで引き上げられ、従業員を43.5人以上雇用している企業は障害を持つ方を1人以上雇用する義務が発生することになりました。同時に、日本では将来的に深刻な労働者不足に陥ることも厚生労働省から発表されています。

そんな中、私は障害者雇用の観点から将来の労働者不足に備え、障害者と雇用主・担当者・同僚の心や作業の垣根を取り払い、誰もが働きやすい企業をつくり上げるお手伝いをさせていただいています。そして、コンサルタントの良い部分と、カウンセラーの良い部分を組み合わせて障害者雇用をサポートしていく理念が、「障害者雇用コンサルカウンセラー」という肩書きには込められているのです。

3.障害者雇用コンサルカウンセラーは何をしてくれるのか

よく相談者様からは「行政の相談窓口とは何が違うのか?」という質問をいただきます。確かに、制度利用の手続きなどを行う場合には、行政に相談するほうが適格だと思います。しかし、職場内の問題が起こった際には、行政だけでは解決が難しい場合があります。

産業医や産業カウンセラーの方を配置されている企業は多いものの、どちらも「障害者の心理」「障害理解」を専門とされている方は非常に少数です。その点、私は障害を持つがゆえの特徴などを熟知したうえで、障害雇用担当者はもちろん、障害当事者の同僚、関係するすべての方との綿密なカウンセリングを行えるというのが大きな強みになるかと思います。

また、関係者一人ひとりとしっかり向き合う姿勢も差別化のポイントです。互いに信頼を結ばなければ、心を開くことはできませんから、まずはそこからじっくり始めるのが私の信念なのです。

4.軽度知的障害と発達障害とは

「知的障害」という言葉は皆さん聞いたことがあると思います。しかし、そこに“軽度”と付いている「軽度知的障害」という言葉は耳慣れない方も多いのではないでしょうか。軽度知的障害とは、主に教育現場で使われる言葉で、IQ50~70までの知的障害のことを表しています。知的障害と言っても、軽度知的障害しか障害を持っていない生徒の多くは、一般的に目立ちません。

私自身、軽度知的障害児とかかわる前には「知的障害児は叫んだり、ブツブツ独り言を言ったりする障害」と間違った認識を持っていました。実際の子どもたちは、非常に礼儀正しく、顔見知り同士では町でもよくあいさつをしてくれます。

逆に、軽度知的障害の方たちの中には、大人になるまで自身の障害に気付かず、生きづらさからうつ病などの精神疾患にかかってから、検査をしてみたら軽度知的障害だったという人もいらっしゃるそうです。一見、普通に見えてしまうがゆえに、余計に周囲との誤解や摩擦を生みやすいとも言えるかもしれません。

次に、発達障害について。広汎性発達障害の中では、アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)や多動障害が有名ですが、他にも「小児自閉症」「非定型自閉症」「レット症候群」「小児期崩壊性障害」などが挙げられます。

行政上の定義では「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥・多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」とされています。

私は軽度知的障害と広汎性発達障害の育児カウンセリングを通して、ご家族の不安を取り除きつつ子供たちの精神状態を健やかに保ち、障害者雇用を通じて障害がある方たちにも「働きお金を得る楽しさ」「誰かの役に立てることの喜び」を知っていただきたいと思っています。

5.軽度知的障害や発達障害は増加傾向

右上は少し古い情報となりますが、厚生労働省の知的障害者基礎調査の結果を表したグラフです。ここでは知的障害者しかご紹介していませんが、発達障害や身体障害者も増え続けています。これからの時代は、障害者・健常者の区別なく、やりがいを見つけつつ働ける社会でなければいけないと私は感じています。障害があっても、少しの配慮や仕事内容の改善で働ける幅が広がることはたくさんあります。誰もが生き生きと働き税金を納め、自分で生きていける社会をつくるお手伝いができれば幸いです。

私は障害者雇用をメインとしていますが、障害者さんのメンタルヘルスだけではなく一緒に働く方々のメンタルヘルスも総合的にカウンセリングしています。私の考える障害者雇用の理想とは、障害者も社員も経営者もメンタルヘルスを良好に保てることであり、そこへ向かって日々、まい進しているところです。

6.おわりに

このコラムでは、障害者の心理のことはもちろん、私の経験に基づいたいろいろな心理学のお話ができればと思っています。

メンタルヘルス・マネジメント検定に出題される内容など、幅広い心理学コラムを展開していきたいと思っておりますので、肩の力を抜いて楽しんでいただければと思います。

(次号へ続く)

■プロフィール
宮田 満代(みやた かずよ)
minoritas Lucet 代表
 
発達障害児・軽度知的障害児の育児の中で、心理学に興味を持ち心理学について学びを深くする。2019年都立特別支援学校でPTA会長を経験し、障害児教育と保護者の関わり、社会との関わりを経験する。2020年日野市planTビジネスプランコンテスト ファイナリストとして、障害者雇用について発表。軽度知的障害者と発達障害者の可能性の開花には、保護者の健やかなメンタルヘルスと障害者雇用現場のメンタルヘルスマネジメントが必要だと実感し現在活動をしている。
 
※保有資格
【アイディア・ヒューマンサポート】
カウンセラー基礎 / メールカウンセラー / 心理テスト制作
JADP認定 メンタル心理カウンセラー / 上級カウンセラー
・日本メディカルセラピー協会
心理カウンセラー / カウンセリングアドバイザー /
アロマセラピーカウンセラー
・大阪府吹田市内精神科主催 広汎性発達障害児ペアレンツ講座
・東京都日野市 第11期創業スクール受講
(≪特定創業支援等事業≫認定)
・メンタルヘルス・マネジメントIII種
 
URL https://minoritas-lucet.tokyo/
保護者向けカウンセリングWebサイト https://lucet.link/
Facebook https://www.facebook.com/minoritas.lucet
Instagram @minoritslucet
Twitter @MinoritasL個人事業主様のためのビジネスオンラインサロン
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