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コラム

毎日のマネジメントで使える! コーチング&コミュニケーション

ストレングスコーチ・経営戦略コンサルタントの壁山恵美子氏は、大学院在学中から個人事業主となり、芸能界・出版業界など多くの業種を経験。30歳で転職した上場企業ではスピード出世を果たすなど、さまざまなビジネスノウハウを蓄積してきました。本連載ではそんな壁山氏が「マネジメントのヒント」や「現場でのコミュニケーション術」をお伝えします。第5回目のテーマは、前回のリモートワーク(遠隔)でのマネジメントにおけるコミュニケーションの続きになります。

 
皆様、初秋の季節いかがお過ごしでしょうか。早いもので、2020年も残り3ヶ月となってしまいました。コロナ禍で前半の半年があっという間に過ぎ去って、実感がないままに時間が経過している感覚ではないでしょうか。

前号の第4回では、緊急事態宣言の発表により、多くの企業がリモートワーク(遠隔)を余儀なくされ、不安が渦巻く状況下でマネージャがまずできることをお話ししました。今回はその続きで、コロナ禍の職場でのコミュニケーションについてお伝えしたいと思います。

「新しい生活様式」で変わりつつある職場のコミュニケーション

「新しい生活様式」を実践することが求められ、誰もが今までの常識が大きく変わってしまったことでしょう。経済活動においては、定常の通勤形式とリモートワークとのバランスで、職場環境も今までとは異なる様式となっているかと思います。もちろん、ソーシャルディスタンスの確保およびマスクの着用ということで、職場でのコミュニケーションも以前のようにはいかないでしょう。特に、マスクの着用および私語厳禁となると、やり取りはメールやチャット、そしてリモートとなり、どうしても簡素化したコミュニケーションになってしまいます。

今年度の新入社員においては、4月から一度も出社しないままリモートワークで在宅勤務といったケースも少なくないようです。自分がどういった職場の人間関係の中に身を置いているかという実感もないまま、画面上でしか見たことのない部署やチームのメンバーと過ごしています。そうした状況では、確認したいことがあってもコミュニケーションのきっかけがつかみにくいでしょう。職場の上司や同僚に気軽に声をかけるなどの関係性が希薄になってしまった例も実際にあります。今後、増えることはあっても減ることはないと考えられるリモートワークでのコミュニケーションで、どのように人間関係を構築していけば良いのでしょうか。

リモートでの効率的な会議と疲労感

前述の環境を踏まえつつ、日本でのリモートワークにおける遠隔ツールを使ったミーティングについてお話ししたいと思います。コロナ禍で在宅勤務でのミーティングが始まった直後は、「時間の無駄がなくなって良い」という意見を耳にしました。リモートワークになることで、決まった時間になると遠隔ツールにつないで時間どおりに会議をスタートし、会議の本題を次々と話し合って議題をすべて片付けて、また時間になったら終了する。そんなスタイルのミーティングが定着したようです。確かに、ピタッと始まり&サクッと終わるミーティングは時間効率も良く、会議室への移動もないために業務効率も上がります。

しかしながら、一方では「疲れる」という声も挙がっているのです。「1時間ぶっ通しで会議はとても疲れる」「肩が凝った」「立て続けに座りっぱなしなので体や姿勢に支障をきたす」など、さまざまな意見がありました。

私自身、リモートワークでインターネット上の遠隔ツールを使ったミーティングを約3ヶ月以上継続しています。その利点を十分に実感するとともに、「疲れる原因」について思い当たる節がありました。もしかしたら、それは「雑談の欠乏」なのではないかと思うのです。

というのも、対面でのミーティングの場合ですと、特に、社内より社外の外部の方が来社されてのミーティングでは、座るやいなや「本題」を話し始めることは、まずありませんよね。名刺交換であったり、ご足労いただいたお礼を述べたりと、相手を知るための最初の対話やアイスブレイクのような、ちょっとした「雑談」があるかと思います。

しかし、リモートの会議となると、なぜかこの「雑談」が削られ、次から次に会議を淡々とこなしていくのです。1つの会議が終われば、その接続を切って次の会議に接続する。息継ぎの間もないような状態で頭を切り替えていかなければならない。言うなれば、準備運動をせずに新しい競技種目に取り組んでいるような感覚なのです。

リモートでのコミュニケーションにも「余白」をもつ

雑談はコミュニケーションの「余白」を担います。要するに、本題の間にちょっとした雑談を交えると、リモートワークでの疲労低減や、議題以外の話をすることでストレスや不安の解消につながるのではと思うようになりました。特に、部内ミーティングなどのときでは、マネージャ側から積極的にアイスブレイクを行っていくことで、リモートワークでの部下の様子を把握する良いきっかけにもなるはずです。

余談ですが、リアルな職場での会議の場合、会議と会議の合間に一旦席に戻るとか、トイレへ行くなど、それなりの物理的な「余白」があるかと思います。リモートでの会議で円滑なコミュニケーションを取るためにも、物理的な「余白」、つまりトイレに行く、席を立つなど、会議の前後5分程度の隙間休憩の時間も現実的には重要ですね。

部下が不安に感じていることや困っていること、抱えているストレスなどを話しやすくなるようなきっかけを雑談やアイスブレイクでつくってみてはいかがでしょうか。リアルよりもさらに意識的にコミュニケーションを取ることが、リモートワークによるコミュニケーションの壁やさまざまな不安を少しでも低減する助けになるかと思います。これをお読みになった今日から実践していただけると幸いです。

第5回のコラムはここまでです。次回も自分自身の体験や実践を交えて、お話をしたいと思います。

ご質問、ご相談をいつでもメールで受け付けしています。いただいたご質問はできるかぎりコラム内でお応えしていきたいと思いますので、お気軽にご連絡ください。ご意見・ご感想もぜひいただけると幸いです。少しでも皆様のお役に立てるコラムにしていきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
 

■プロフィール
壁山 恵美子(かべやま えみこ)
株式会社 ブレインスイッチ 代表取締役
YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー/ヤンゴン)
Chief Information Officer(CIO)
 
イベント・出版業界を経て、ソフトバンク(株)に入社。情報セキュリティおよびリスクマネジメントを専門分野とするグループマネジャーとして業務に従事。その後、J-SOX、IT統制、システム監査等の経験を経て独立。現在は、上場企業の経営企画部門およびPR・マーケティング戦略などのコンサルティングに携わる。また、中小企業の経営者向けコンサルティングや人材育成の研修カリキュラム開発なども展開。さらに、YAMA HOTEL & ROOFTOP BAR(ミャンマー / ヤンゴン)にてCIOとして人材育成をする傍ら、ミャンマー進出コンサルタントとしても活動。Gallup認定ストレングスコーチとして、組織のマネジャーなどにコーチングおよびコーチング型マネジメント手法を指導している。
 
※保有資格
・Gallup認定ストレングスコーチ
・一般社団法人マザーリングマネジメント協会 認定ティーチャー
・Tony Buzan公認 マインドマップ・インストラクター
・Peter Walker氏 公認 ベビーマッサージ&ベビーヨガインストラクター
・高等学校教諭第Ⅱ種(公民)免許
 
URL https://brainswitch.jp/
個人Webサイト https://emikokabeyama.com/
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Twitter @Kabeyama_Emiko
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