一歩を踏み出したい人へ。挑戦する経営者の声を届けるメディア

Challenge+(チャレンジプラス)

コラム

キャリアコンサルタント森ゆきの働き方改革の進め方No.06

メンタルヘルス・マネジメント
部下・後輩を守る『ラインケア』

年々増加するメンタルヘルス不調者。過労によるうつ病の労災申請件数は増加しており、年代別では30代が最も多くなっています。うつ病を始めとするメンタルの病気は、本人にとってダメージが大きいだけでなく、職場にとってもリスクがたくさんあります。今回は、管理職に求められる、部下や後輩のメンタルケア『ラインケア』について解説します。

◆ 部下や後輩の「ストレスの原因」を理解する

新年明けまして、おめでとうございます。2020年も、皆様にとって素晴らしい年になりますよう、心より祈願しています。今年もよろしくお願いします。

キャリアコンサルタント(通称キャリコン)の森ゆきです。日頃は、企業の従業員向けに、研修や面談を実施しています。このコラムでは、企業の人材活用の視点から「働き方改革の進め方」について、毎号、解説をしています。今回のテーマは、前回に引き続きメンタルヘルス・マネジメントです。今回は、上司が部下や後輩のメンタルケアをするための『ラインケア』を解説します。

厚生労働省が2012年に行った調査で、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスがある」と回答した労働者のうち、そのストレスの原因で最も多いのが「職場の人間関係」です。2番目が「仕事の質」、3番目が「仕事の量」という結果でした。ラインケアを考えるときには、これらのストレスの原因となっていることや、環境を改善することが大切です。

人間関係にストレスを感じている人はとても多いです。これらのストレスの要因には、「上司との関係」や「上司からのハラスメント」も含まれています。管理職の方は、まずは自分が、部下や後輩のストレスの原因になっていないかどうか、振り返りましょう。例えば、部下の話をよく聞いているか、部下へ無理な仕事の与え方はしていないか、部下や後輩への指導が、無意識のうちにハラスメントになってはいないかなど、部下とのコミュニケーションを見直すことが重要だと言えるでしょう。

◆ 部下の不調を見逃さないために、部下の特徴を知る

メンタルヘルス不調になりやすい人には、性格やタイミングに特徴があることが分かっています。必ずしも下記の特徴を持つ人が、メンタルヘルス不調になるとは限りません。しかし、リスクは高いと言えるでしょう。

<メンタルヘルス不調になりやすい人の特徴>
・性格:まじめ、地道にコツコツと頑張る、責任感が強い、几帳面、考え方が保守的
<メンタルヘルス不調になりやすいシーン>
・タイミング:異動、昇進、人間関係のトラブル、業務内容や量の変化、大きな失敗

上記に当てはまる性格やタイミングを迎えている部下や後輩がいたら、ぜひ気に掛けてみてください。声を掛けたり、話しを聞いてあげるなどすると良いでしょう。気持ちが苦しく、行き詰まりを感じているときに上司から気に掛けてもらえると部下は安心し、気持ちも落ち着くはずです。そして、上司として、業務量の調整をしたり、ときには担当業務を代えるなど、部下が働きやすい環境をつくるよう配慮をしましょう。

◆もしも部下がメンタルヘルス不調になってしまったら

部下や後輩の様子がおかしい、メンタルヘルス不調ではないかと感じたら、最初にやるべきことは、上司である自分に「いつでも相談していい」ということを伝え、話を聞いてあげることです。そして次に、専門家(医師など)に相談するよう勧めること。その際、いきなり精神科や心療内科を勧めるのではなく、「眠れない」「食欲がない」「胃が痛い」などの体調不良を心配した上で、受診を勧めます。産業医に相談するのも良いでしょう。

もしも、部下がうつ病など心の病の診断を受けた場合は、本人の意向を確認しながら、休職も検討します。ただし、必ずしも休職することがベストであるとは限りません。場合によっては、業務の内容や量、一緒に働く人などに配慮をしながら、無理の無い範囲で業務を継続した方が良いこともあります。主治医の診断や産業医の意見、本人の気持ちなどを踏まえて対応を決めることが大切です。その際、上司が1人で抱え込むのではなく、人事総務部などと連携をして進めましょう。

◆「良い仕事には、良いメンタル」のお手伝いをします!

従業員が大きなストレスを抱えている、人間関係がギスギスしている、そんな状態では、効率よく質の高い仕事はできません。働き方改革には、制度を整えると同時に、人の心に配慮をした施策が欠かせません。心身ともに健康に働けるからこそ、業務への意欲が湧いてくるのです。「良い仕事には、良いメンタル」が必要ですね。

従業員一人ひとりが、自分のメンタルを健康に保つためのスキルを身に付けるとともに、上司が部下や後輩の働く環境を整えてあげることが大切です。メンタルヘルス・マネジメント「セルフケア」および「ラインケア」の、研修やカウンセリングが必要だと感じた際は、お気軽にお問い合わせください。
 

【メディア掲載のお知らせ】
日経新聞電子版、日経BizGate『私の道しるべ』で取り上げられています。企業におけるキャリアコンサルタントの活用について、私が熱く語っている動画もあります!ぜひ、ご覧ください。
 
URL
https://ps.nikkei.co.jp/myroad/keyperson/mori_yuki/

 

■プロフィール
森 ゆき(もり・ゆき)
 
22年間の企業勤務の後、2015年にキャリアコンサルタントとして独立。さまざまな企業に向けて従業員の「働き方面談(キャリア面談)」を年間約100名実施する他、講師としてキャリアデザイン研修、メンタルヘルス研修など、年間約100本の研修に登壇している。プライベートでは2男1女の母親。
 
▼ 保有資格
・国家資格 キャリアコンサルタント(登録番号:16185111)
・メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種(マスターコース)
・女性労働協会 認定講師
▼ 著書
『働き方改革は社員のモチベーション改革~プロの活用で、即効性と持続性のある真の改革を~』
(2019年5月出版)
『キャリアコンサルタントの稼ぎ方~企業領域でキャリア支援の専門家として活躍する~』
(2019年5月出版)
『~未来の挑戦に迷っているあなたへ~「女性のキャリア」のつくり方』
(2018年6月出版) 
▼ Webサイト[マイキャリア・ラボ]
https://www.mycareer-lab.co.jp/
▼ Facebook
https://www.facebook.com/Yukimori.Careernet/
▼ メールアドレス
yuki.mori@mycareer-lab.co.jp

<< 森ゆきの働き方改革の進め方No.05森ゆきの働き方改革の進め方No.07 >>

 
 
 

躍進企業応援マガジン最新号

2024年9月号好評販売中!