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コラム

コンサルタント・小田切社長が指南!海外進出成功への道 第7回

昨今の国内市場の縮小化を危惧し、多くの日本企業がグローバル化に乗り出しています。その中で、言葉や文化、ビジネスの進め方の違いなど、さまざまな壁にぶつかることがあるでしょう。本コラムでは、海外ビジネス経験が豊富な(株)サザンクロスの小田切社長による、海外進出におけるアドバイスをお伝えしています。前回は、「海外展開を進めてきた企業の成功例」についてご紹介しました。今回は、「海外進出完了は、実は終了ではない」というテーマでお話しします。
 

海外進出のスタートライン

皆様、こんにちは。(株)サザンクロスの小田切武弘です。対談記事が掲載されている「躍進企業応援マガジンCOMPANY TANK」2018年3月号、そして2018年5月号から連載中である本コラムには、すでに目を通して頂けましたか?

第7回にあたる今号では、「海外進出完了は、実は終了ではない」という内容にフォーカスを当ててお話しします。

前号までで、海外進出の成功例や失敗例を交えながら海外展開を進めていく上での主なポイントについてお話ししてきました。そこで今回は、無事に海外現地法人や海外支店、海外店舗を設立できたと仮定して進めていきます。ここまで紆余曲折、さまざまなご苦労があったと思いますが、大きな一歩を踏み出せたことは事実。まずは一安心といったところではないでしょうか。弊社としても、海外進出のお手伝いをさせて頂く中で大きな節目の1つとしてとらえています。

ところが、これで海外進出が完了したわけではありません。まだ海外展開をするための1つの条件をクリアしただけの段階で、ここからが本番になります。ゴルフの米国男子PGAツアーに例えると、現地の拠点設立はPGAの公式試合に出場できる資格を獲得した段階に過ぎず、これから予選ラウンドが始まることになります。つまり海外進出の終了、あるいは1つの完成とは、その試合で優勝することと同じです。
 さらに申し上げるならば、複数の国々で事業を展開されていらっしゃる段階の場合には、どの国々でも平均的に上手くオペレーションができていれば、海外展開における1つの目的は遂げられたと言っても良いかもしれません。こちらもゴルフで例えるならばその年の賞金王になったり、FedExポイントランキングで1位になったりするのと同様ですね。

検討するべきさまざまな面

では海外進出を果たした後、そこからどのようなことが必要になるのでしょうか?いくつかは、海外進出をする前段階から準備をしておくべきポイントになるものですが、以下に主な項目を具体的にご紹介していきます。

1.人の面
海外に現地法人、工場、店舗を設立すると(以下、本文中では「拠点」という言葉で括ります)、本社より法人経営者や工場管理者、技術指導者、店舗責任者などを派遣します。この場合、数ヶ月から数年にわたり、駐在員として現地に滞在しながら拠点を形にする業務を行うのです。それと同時に、日本人だけでは拠点の運営ができないため、必ずローカルスタッフを雇用し、指導・教育していくことになります。また業務の折々で、日本からの出張ベースでサポートする海外出張者も必要になるケースが多いです。まとめると、海外駐在員、ローカルスタッフ、そして日本からの出張者となります。

2.お金の面
海外で拠点を設立したら、日々の資金が必要になります。当面は、主に資本金の中から捻出することになりますが、売上・利益を上げるまでの間の運転資金をどのようにやりくりをしていくのか。本社からの親子ローンのような形態で送金を受けるなり、(実際は多くの国では厳しいですが)現地の銀行から一時的でも借り入れをするのかなど、検討しなくてはなりません。

3.情報の面
拠点設立後、本社とのさまざまな連絡業務がすぐに発生します。具体的な業務連絡、人事関連、給与も含めた資金関連、物資や商品関連、その他の情報のやりとりなど。これらを振り分けて、どのような連絡媒体で必要な情報を責任者や担当者と、いかにスムーズなやり取りを行うかが鍵となります。特に財務・経理関連の情報と、人事関連の情報(報連相)、やり取りの仕方(報連相の仕分け)は最重要です。

4.物の面
特に海外で工場(生産拠点)を設立した場合には、必要な建設資材や、生産のための機械から工具などの調達、QC(品質管理)が主なポイントとなります。また、レストランなどの店舗を海外で設立した場合にも同様です。ちなみにハンドキャリーにより持ち込まれたような、正式な輸入手続きが行われていないものを現地で販売することは、現地の法規に抵触することになります。

5.営業活動の面
どの業種の会社であっても、海外で拠点を設立した際には営業活動を行い、売上・利益を確保していかなければ拠点の維持はできません。この面についても最重要課題の1つになります。日本と同じ商品を同じような販売ルートで同等の価格帯で販売していければ苦労も少ないのですが。商品や種類、販売先、販売価格、プロモーションのやり方などどうすれば良いでしょう?

これまで、弊社でコンサルティングをさせて頂いてきたさまざまな業種の企業様も、上記項目を個々詳細に検討し、成功を収められてきました。反対に、頓挫される場合や、何年経っても利益が確保できていない企業様も多く散見されます。そのような場合の共通点は、上記項目の「営業活動の面」だけを中心にして考えてこられたケース。もちろん、売上・利益を早期に確保しなくてはなりませんが、海外展開を進めていく上では、業務バランスや、ある程度の順番があるのです。この部分については、次号で詳しくお伝えしていきます。

世界情勢を見据えた一手を

皆様が本コラムを手にされるのは、2019年5月になると思います。新年度早々でもあり、新元号にもなったばかりです。加えて昨今の米国、中国、韓国など世界の政治的な流れから、日本経済もさまざまな面で困難な状況となり、個々の企業様についても将来の存続に関して再考される時期になっているかと思います。

日本国内だけで企業活動が行え、売上・利益も順調に確保していける算段があれば良いのですが、多くの企業様は否が応でも海外との関係を構築、発展させていくことが企業存続の一つの方策だと思います。

弊社の本連載コラムをご覧頂き、少しでも皆様のお役に立つことができましたら幸甚です。

次号では「人・金・情報・物」について、さらに詳しく展開してまいります。

■プロフィール
株式会社 サザンクロス 代表取締役社長
小田切 武弘

海外志向が強く、学生時代に海外留学を経験。学業修了後は、大手電気機器メーカーや飲料・食品メーカー、総合商社など数社にわたって、米国、インド、韓国、東南アジアといった諸外国に駐在。その中で、海外でのビジネスに苦戦する日本企業の存在を知り、自らのノウハウを提供したいという思いが芽生える。2017年7月7日、企業の海外展開をサポートする(株)サザンクロスを設立した。
 
■企業情報
株式会社 サザンクロス
〒167-0032
東京都杉並区天沼1-16-9
■URL
http://sc-southerncross.jp/

 
 

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