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コラム

リポーター・圖師凜の宮崎ガイド

世界三大珍味として知られる高級食材、キャビア。1983年からチョウザメの養殖が行われていた宮崎で、キャビアの製造・販売に奮闘するのが、ジャパンキャビア(株)の坂元基雄社長です。MRT宮崎放送のリポーター・圖師凜さんが、社長のキャビアに懸ける思いとビジョンを伺います。
 

ジャパンキャビア 株式会社 代表取締役
坂元 基雄(さかもと・もとお)
 
宮崎県日南市出身。チョウザメの養殖やキャビアの製造に尽力し、2013年に設立された宮崎キャビア事業協同組合では事務局長を務める。同年、『宮崎キャビア1983』のブランドを設立。そして2016年には同組合を法人化し、社名をジャパンキャビア(株)に変更するとともに、同社の代表取締役に就任した。

*ジャパンキャビア(株)ホームページ
https://www.japancaviar.jp/

MRT宮崎放送 リポーター
圖師 凜(ずし・りん)
 
宮崎県日南市に生まれ、その後は宮崎市や延岡市で暮らす。大学卒業後は病院に事務職として勤務。仕事の傍らで、観光レディである「日南サンフレッシュレディ」として活動し、2016年4月からはMRT宮崎放送の朝の情報テレビ番組「モーニングてらす!」のリポーターに就任した。趣味は学生時代から打ち込む卓球で、現在も全国大会などに出場する。
 
*MRT宮崎放送・モーニングてらす!
http://mrt.jp/television/mtera/

 

圖師 世界三大珍味の1つとして有名なキャビア。寒い地方でつくられるイメージですが、なぜ南国・宮崎でつくろうと思われたんですか?

坂元 県内でチョウザメの養殖にチャレンジされていた70、80代の方々が、こんな夢を語っていたんです。「宮崎でキャビアをつくって世界に向けて売るんだ!」と。それが、何だか素敵だなと思って。そこから夢に向けて、県と一緒に宮崎チョウザメ普及促進協議会やチョウザメの研究会を立ち上げて活動していました。そしてチョウザメ研究がスタートした1983年から30年目にして、ついにキャビアが完成したのです。

いざ商品を製造するとなると、加工場も莫大な資金も必要です。そこで、チョウザメの買取、採卵、瓶詰、販売まで行う組合を立ち上げ、その際に出資者の皆様の推薦で私が運営を務めることになりました。独学でしたが、うまくやれば日本のキャビア界でトップに立てるはずだという根拠のない自信があったんです。

圖師 長年研究してやっと出来上がった時は、感動もひとしおだったでしょうね。しかし、手本がない中で、苦労されたこともあったのではないですか?

坂元 ええ、まず売るのが大変でした。お金もなく、1年目で結果を残さないと事業が存続できないというプレッシャーがあって。そこで、まずは東京の有名百貨店と通信販売で売ろうと試みました。しかし、初めは商品がないため、百貨店にもなかなか応じて頂けません。それから何度も交渉に足を運び、担当の方もこちらにお越しくださって、ようやく決まったんです。

圖師 坂元社長や皆さんの熱意が伝わったんでしょうね。

坂元 とはいえ、やはり最初は売れるかすごく不安で・・・。しかし蓋を開けると、百貨店では数日で完売。通信販売も、5分程度で売り切れたんです。メディアに取り上げられたことが大きかったようですが、想像をはるかに超える人気ぶりに、養殖していた皆さんと一緒に心から喜びましたね。キャビアの出荷量は、初年度は15kgでしたが、年々順調に増えていて、来年は1tになる予定です。

圖師 驚くほど大きな反響があったんですね。その大人気のキャビアはどのようにつくっているのですか?

坂元 当社では国内で唯一、2~5ヶ月寝かせる「長期熟成キャビア」をつくっています。人の手と機械を用いて作業するので、私は「ローテクとハイテクの融合」と呼んでいますよ。まず、不純物をピンセットで取り除く作業は手で行います。鮮度を保つため、5~6分で終わらせるようにしているんです。そして2016年12月には加工場をつくり、最新の「IoT」を導入し、キャビア製造に必要なさまざまな項目をコンピューター管理しています。例えば、管理温度がわずかでもずれると、スマートフォンに知らせが届くようになっているのです。キャビア製造専用に独自開発し、ソフトもつくりました。

圖師 すごくこだわりを感じます!私もそのキャビアをいただきましたが、苦みがなくほど良い塩気で、クリーミーな味わいですね。

坂元 ありがとうございます。海外産のキャビアを40~50種類買って食べ比べ、試行錯誤の末、目指すべき味を確定しました。チョウザメの卵って、中にココナッツミルクのようなものが入っているんです。そこに3種類の塩を独自にブレンドし、日本人が好む“旨み”を出すよう工夫したんです。冷えた日本酒をキュッと飲みたくなるような、辛すぎず非常にマイルドな仕上がりで、世界のトップシェフたちにもご好評頂いています。

圖師 社長のお勧めの食べ方はありますか?

坂元 最近はみじん切りにした玉ねぎを一晩放置して、一緒に食べる方法にはまっています。他にもパンに乗せたり、チーズ、パスタ、お刺身、お野菜と一緒に食べてもおいしいですよ。

圖師 ぜひ試してみたいです!ところで、このキャビアをビジネスとしてどう考えられていますか?

坂元 まずはブランドをきっちり確立し、それを軸にして産業を広げていきたいですね。養殖はもちろん、観光もです。「宮崎に来たらこんなものが食べられる」と知って頂きたいと思っています。また、県外でチョウザメの養殖をされている方々とも協力し合い、世界に向けて一緒に頑張っていけたらと思いますね。そうして日本から海外に発信していき、いずれは「世界で一番品質が良いキャビア」と言われることが目標です。

圖師 世界を見据えていらっしゃるんですね。

坂元 はい。最初からその思いがあり、「ジャパンキャビア」と言う社名にしたんです。初めてのことばかりで全てがチャレンジの連続ですが、それが面白い。私はこの仕事をするために生まれてきたのかと思うくらいです。

圖師 天職ということですね!

坂元 そうですね。私は、いつも「世界一のキャビアメーカーになろう」と社員に伝えているんです。現在は香港への輸出が始まっていますが、国ごとにハードルは全く異なるので、一つひとつクリアしていく予定です。

圖師 これだけ明確な目標を掲げられていたら、社内の士気も上がるでしょうね。

坂元 おっしゃる通り、目指すところが一緒だからか、みんな熱心ですし、非常に仲が良いですよ。社員にはプライベートも大事にしてほしいので、残業はせずに定時に退勤させています。その分、仕事中はしっかり取り組んでもらっていますよ。私の後ろには、社員はもちろん、その家族や養殖業者の方々もいます。その責任は大きいですが、皆さんに喜んで頂けることが私の原動力になっているんです。

 

MIYAZAKI CAVIAR 1983
ジャパンキャビア(株)が製造・販売を手掛けている「MIYAZAKI CAVIAR 1983」[写真上]。研究の始まった1983年をブランドネームとして冠している。ジュエリーをイメージした、飾りたくなる美しいパッケージと高級感のあるケースは、プレゼントにも最適だ[写真左下]。キャビア専用のスプーンも製造しており、何と貝殻でできている[写真右下]。キャビアをすくうときに卵が潰れないよう薄さにこだわった品だ。
 
*オンラインでの購入は>>公式Webサイトから

 
 

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