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Challenge+(チャレンジプラス)

注目企業インタビュー

アーティストが輝く瞬間を音で演出
24年の現場経験を誇る音響の匠

 

アーティストに寄り添う音づくり

鶴久 アーティストから直接指名を受けるほど信頼を得られているのは、橋本代表ならではのこだわりがあるからでしょうね。

橋本 私が大切にしているのは「舞台に立つ人が気持ちよく演奏できる音」を届けることです。ライブは会場も出演者も毎回異なりますし、初めて会うミュージシャンや初めて聴く曲に対応することも珍しくありません。だからこそ、事前に音源を聴き込み、リハーサルにも積極的に参加して、アーティストやスタッフとしっかり話をします。リハーサル中に何気なく交わす会話の中から「この人はこういう音を求めている」と気づくことも多いんですよ。専門的な会話だけでなく、相手といろいろな話をするということに一番重きを置いています。

鶴久 そうした細やかな準備は、演者にとって大きな安心につながります。自分の音を大事にしてくれていると感じると、自然とパフォーマンスに力が入りますからね。

橋本 ライブが終わったあとに「音響が良かった。またお願いしたい」と言っていただけるのは本当に嬉しい瞬間です。ときには単発の現場からご縁が広がり、ツアー全体を任せていただけることもあります。そうした信頼の積み重ねが、私の糧になっています。

鶴久 音響はアーティストの音を最も近くで聴く存在ですから、その人が信頼できるなら、ステージ全体が良くなるのは当然だと思いますよ。

橋本 ありがとうございます。私の強みは、20年以上の現場経験で培った即応力と柔軟性です。単に音を整えるだけでなく、アーティストの人柄まで理解しながら、一人ひとりに好かれる音づくりを心がけていますし、そうして「求められる以上のサウンドクオリティ」を実現することが私の使命なんです。

 

音で人と人をつなぐ未来へ

鶴久 「Hash.Sound」さんは、音響オペレーション以外にも事業を展開されているそうですね。

橋本 はい。豊富な機材を生かしたレンタル事業も手がけており、駆け出しのアーティストのライブから、たくさんの観客が集まる野外フェスまで、規模の大小を問わずご相談いただきます。機材の貸し出しだけでなく、現場での設営やオペレーションまで一貫して対応できるのが当社の特長ですね。

鶴久 音響が関わる現場はトータルでお任せできるのですね。まさにプロフェッショナルという感じがして、頼もしい限りです。

橋本 そう言っていただけると嬉しいです。近年はデジタル機材が普及して軽量化され、昔に比べて作業の負担は大きく減りましたが、その分「誰でも扱える」と思われやすくなった面もあります。けれど実際は、現場ごとに求められる音はまったく違いますし、アーティストの期待に応えるには経験からくる判断力が不可欠です。私自身、修業時代は先輩から細かな指示をもらえず、自分で工夫して音をつくり上げるしかない状況もたくさんありました。その積み重ねが今の対応力につながっていると思います。

鶴久 厳しい現場をくぐり抜けてきたからこそ、多様なニーズに応えられるんですね。では最後に、今後の展望を教えてください。

橋本 事業をどんどん大きくしたいとか、派手に広げたいという気持ちは正直ありません。それよりも「橋本と一緒に仕事をしたい」と言ってくださる方をもっと増やしたいんです。嬉しいことに、最近は「音響を学びたい」と現場にやってくる若い方もいらっしゃいます。彼らみたいな若者と一緒に成長していけるような環境をつくりたいと思っています。これからもライブやイベントを通して、多くの人の心に残る瞬間を支えていきたいですね。

 
 

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