注目企業インタビュー
最新ロボット導入で経営課題を解決
北の大地で進化し続ける酪農一家
大胆な設備投資で事業拡大に成功
矢部 17名という少数精鋭ながら、大規模な酪農経営を実現されているのは、何か秘密がありそうです。
北藤(英) 実は2018年に牛舎を新設した際、大規模な設備投資を行い、作業の多くを自動化したんです。搾乳ロボットを3台導入したほか、自動給餌機や自動換気システム、自動で牛舎を清掃する徐糞装置まで整えました。おかげで少人数でも効率的に管理できるようになりましたね。
北藤(梨) それまでは人手が足らず、労働時間の増加が大きな課題でした。しかしオートメーション化を積極的に進めたおかげで負担が軽減され、効率性も作業環境も大きく改善できました。そして2020年には牛舎を増築でき、さらには従業員用の宿舎も建てることができたんです。
矢部 自動化に乗り出したことで生産性が向上して、働きやすい環境も整ったのですね!設備投資は思い切った経営判断が必要で、尻込みしてしまうものです。でも(有)北藤ファームさんは、まさに自動化推進の成功事例ですね。北藤社長は、どんな時に仕事のやりがいを感じますか?
北藤(英) 自分のアイデアを形にして、うまくいったときです。毎日が試行錯誤の連続で失敗はつきものですから、成功したときの達成感は格別ですね。
北藤(梨) 夫は以前、牛糞からできる液体肥料を、リモート操作でくみ上げる装置を自作したこともあるんですよ。
矢部 えーっ!そんなシステムをゼロからつくり上げてしまうとは驚きです。そういった創意工夫は、日々の現場での気づきによるものなのか、それとも新しい技術や他の業界からヒントを得ているのでしょうか?
北藤(英) 幼い頃にラジコンが好きだったので、その知識を応用したんです(笑)。思いつきや思いを形にできると、仕事がとても楽しくなりますよね。楽しく酪農の仕事をする「楽農」は、当社のモットーでもあります。
矢部 「楽農」とは、とても素敵な言葉ですね。ところで、梨紗さんは北藤社長を支えながら、ご自身でサロンの運営もされているとか?
北藤(梨) そうなんです。私は、完全予約制の美容整骨サロン「Private salon belle」のオーナー兼セラピストとしても活動していまして。骨盤や筋肉に優しく圧をかけて、血流やホルモンバランスを改善するフェムケア矯正で、生理痛やPMSなど女性特有の悩みを解決するお手伝いをしています。農家や酪農家は体を酷使しますし、特に女性は我慢を強いられる場面もたくさんあり、自分のために充てる時間も限られていることが多いです。そういった女性の疲労を癒やして悩みを解決し、体も心も美しくしたいとの思いで、サロンを開業したんですよ。
矢部 梨紗さんは酪農家の奥様でもあるから、同じ立場で働く女性の気持ちもよくわかるのでしょうね。ご自身も経営者として広尾町の農業を支えていることに加え、2つの仕事を両立するなんてすごいです!
北藤(梨) ありがとうございます。私が二足のわらじにチャレンジできているのは、長女が家業を手伝ってくれているおかげでもありますよ。