注目企業インタビュー
遊びを通して心と力を育む
元体育教員による多彩な療育支援
人生に必要なスキルを無理なく学べる場
狩野 これまで培ってきた経験を生かし、福祉の道で独立をされた阿部代表。そんな代表が運営する「遊」さんのサービス内容をお聞きしたいのですが、ホームページを拝見したところ、「ABA」や「SST(ソーシャルスキルトレーニング)」といった、あまり馴染みのない用語が並んでいますね。
阿部 ABAは訳すと「応用行動分析学」のことで、人間の行動を分析し、社会でより良く生きていくためのスキルを身につける方法です。例えば、小さな子が家の窓を開けてしまったら、危ないので親御さんが慌てて飛んで来ますよね。でも、積み木遊びでいつもより高く積み上げても、「うわー、すごいね」だけで近寄って来ないかもしれない。この場合、パパやママに構って欲しい子どもが次にどんな行動を起こすか、予想できますよね?
狩野 私は子供が4人いますのでよくわかります(笑)。危ないことをして気を引くんですよね?
阿部 そうなんです。つまり、ある行動によってその子にとっての「良い結果」が起きると、その子どもはまた同じ行動をするようになる。ですから、環境を整え、的確な遊び方やルールを教えることで、トラブルを減少させて正しい行動に導いていくことがABAの目的なんです。
狩野 行動が生じる前と後に対して、効果的な工夫をすることで、問題の解決につなげるわけですね。先ほどの例で言うと、子どもがいつもより高く積み上げた積み木に対して、しっかりと褒めてあげられれば、それがその子にとっての良い結果となり、正しい行動につながっていく、と。では、SSTについても教えてください。
阿部 簡単に言うと、あいさつなどの社会生活を送るうえで必要なコミュニケーション能力や、対人関係スキルを習得するための練習です。私は以前から、ありがとうとごめんなさいが言えたら、人生はうまくいくと思っていまして。でも、それがなかなかうまくできない子どもたちも多いので、毎日の積み重ねを通じて、徐々に身に付けてもらっています。
狩野 私はずっと野球の世界を歩んできたので、あいさつの大切さは身をもって知っています。ですが、最近はだんだんその礼儀正しさも薄れてきているような気がして、少し心配ですね。
阿部 今は大人が子どもに叱るのも難しい時代ですから、ABAのように褒めて行動を促す方法が注目されるのかもしれませんね。