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Challenge+(チャレンジプラス)

注目企業インタビュー

安心・安全の農法で食べた人を笑顔に
伝統を受け継ぎつつ進化するぶどう園

 

品種開発と直販で広がるぶどうの可能性

狩野 お客さんに喜んでもらいたい――その気持ちから、精一杯ぶどうと向き合われているのですね。どのような品種を栽培されているのか、ぜひ教えてください。

上田 シャインマスカットや長野パープル、BKシードレス、クイーンセブン、大阪限定「虹の雫」など、幅広い品種を栽培しています。また、「ぶどうの大王」と呼ばれるマスカット・オブ・アレキサンドリアと、「ぶどうの女王」という呼び名で知られるリザマートを掛け合わせた当園オリジナルの品種も手がけているんです。深い黒色で美しく、皮まで美味しく食べられる点が特長なんですよ。そんな中で狩野さんにはぜひ、当園自慢のシャインマスカットを召し上がっていただきたいです。

狩野 ありがとうございます!それでは、いただきます――甘い!美味しい!これはすごい。甘みがぎゅっと詰まっていて、濃厚なのに、ついつい何個でも手が伸びてしまう魅力があります。まさに打席に立つたびワクワクするような楽しさですね。このおいしさは、ぜひ全国の方に知っていただきたいです。

上田 ありがとうございます。狩野さんにそう言っていただけて嬉しいです!狩野さんに来ていただいた、こちらの場所を直売所にしていますので、お客様の反応をダイレクトに感じられるところが、とても大きなやりがいになっていますね。やはり、お客様から当園でつくったぶどうを直接「おいしい」と言っていただけることが、何より嬉しいんです。

狩野 大変な反面、楽しみはその何倍も大きいというわけですね。上田代表の、“ぶどうの味で人を感動させたい”という強い思いが伝わってきます。具体的には、どのような点を大切にされていますか?

上田 例えばシャインマスカットの場合、1房40〜50粒に整えるために、数百粒も付いているぶどうから粒を間引くんです。手間はかかっても、甘さや見た目のバランスが整った最高の一房になります。また、水分量の加減やストレス調整などの細かな研究を重ねるとともに、お客様に安心して食べていただけるよう、極力農薬を減らし、有機肥料を使用した方法で栽培をしているんです。そうして、代々受け継いできたぶどう栽培の伝統を残しつつ、革新的な挑戦も続けることで、お客様に満足いただけるぶどうがお届けできれば嬉しいですね。
 

笑顔溢れる農園から地域を元気に

狩野 「上田ぶどう園」さんは、職場の雰囲気も明るいですよね。SNSを拝見していても、スタッフの方々の笑顔が印象的です。

上田 「笑いながらつくる」は当農園のモットーの1つです。作業は楽ではなく暑さで挫けそうにもなりますが、スタッフと一緒に、常に明るく笑顔でいるよう意識しています。科学的には証明されていなくても、やはり雰囲気の良さや生産者のやる気は、作物にも良い影響を与えると思いますからね。

狩野 私も同感です。野球でも、チームの雰囲気や選手のやる気がプレーに直結します。上田代表が笑顔で楽しみながらぶどうを育てる姿勢は、きっと果実にも伝わって、味や品質にも良い影響を与えているんだと思います。それでは最後に、将来のビジョンについて教えてください。

上田 若い人たちに「農業っておもしろい」「やってみたい」と思ってもらえるモデルをつくりたいと考えています。昔この辺りは、ビニールハウスが山の斜面いっぱいに並ぶほど、ぶどう栽培が盛んでした。それが今は農業人口が減り、畑も縮小される一方になってしまっています。ですから、農業を活気づかせ、夢を持てる仕事にしたいんです。そうして、「昔の活気ある駒ヶ谷をもう一度見たい」と言っていた親戚の期待にも応えていきたいですね。お金もしっかり稼げて、休みも取れて、笑顔で働ける。そんな農業の理想を目指し、ぶどうで羽曳野を盛り上げていけたら幸いです。
 
 

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