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注目企業インタビュー

世界に1つを形にする職人の技<br />
伝統×革新で生み出す大型信楽焼<br />

製造・技術

世界に1つを形にする職人の技
伝統×革新で生み出す大型信楽焼

二光陶房
代表 小谷 日以呂

PROFILE

父の光二氏が立ち上げた信楽焼の工房、「二光陶房」の2代目。信楽焼伝統工芸士の父から受け継いだ匠の技で、浴槽、テーブル、吐水口など、主に旅館・ホテル向けの大型陶器を制作。手づくりのぬくもりに溢れたオンリーワンの信楽焼は、全国から注目を集めている。

COMPANY DATA

二光陶房

住所
〒529-1804
滋賀県甲賀市信楽町勅旨1061
URL
https://nikotoubou.com

 

インタビュアー 矢部 美穂

矢部 信楽焼の職人である「二光陶房」の小谷代表にお話をうかがいます。まずは、陶房の歴史から教えていただけますか?

小谷 当陶房は、約40年前に父が立ち上げました。最初は皿や植木鉢などの小物からつくり始めて、やがて浴槽やテーブルといった大型の陶器を制作するようになったんです。父の背中を見て育った私も自然な流れで職人になり、一人前になれたと自覚するまでは20年ほどかかったでしょうか。現在は2代目として当陶房を運営していますが、80代になった父は今も現役の職人で、いまだに私を駆け出しだと思っています(笑)。また、私の息子の斗士が見習いで腕を磨いている真っ最中でして、ホームページやSNSの情報発信も任せているんです。

矢部 信楽焼というと食器などの小物のイメージでしたので、浴槽やテーブルといった大きな陶器をつくられていることに驚きました!

小谷 確かに、大型の陶器を制作している方は少ないと思いますね。私たちのお客様は旅館やホテルが中心で、浴槽の場合は、全体のサイズやデザインに加え、排水用の穴をどの位置にどれくらいの大きさで開けるかなど、綿密な打ち合わせが欠かせません。ですから、お客様のニーズを的確にとらえ、世界にひとつだけの陶器をご提供することを心がけています。長年の経験を生かしながらも新たな技術やお客様の声を反映させ、日々、時代に合わせた斬新な信楽焼の制作に取り組んでいるんです。

矢部 求められているものを反映しつつ、自分が思い描いた通りの作品が完成した時、大きな達成感を感じられそうですね。伝統を継承しつつ新しい表現に挑戦される姿勢が素晴らしいです。

小谷 ありがとうございます。信楽焼の寿命は半永久的で、使えば使うほど味わい深くなります。自分の子どものような作品がお客様の手で受け継がれていくことに、大きな喜びを感じますね。

矢部 とても素敵です。では最後に、将来の抱負をお聞かせください。

息子の斗士氏と共に

小谷 実は斗士は以前、海外に留学していたのですが、自分の意志で家業を継ぐと決意し戻ってきてくれたんです。彼のような若い信楽焼の職人はほとんどおりませんので、日本の伝統を未来につないでくれる存在がいることがありがたいですし、何より家族で同じ仕事ができることが本当に嬉しいんですよ。信楽焼の制作は一生修業。あと30年は現役だと意気込む父とも力を合わせて、末永く信楽焼の魅力を伝え続けたいですね!

矢部 落ち着いた和の空間を演出する信楽焼は、宿泊施設はもちろんのこと一般のご家庭でも暮らしにアクセントを加えてくれる見事な作品ばかりでした。これからもお父様や息子さんと手を取り合って、より良い作品を世に送り出し、信楽焼をますます発展させてくださいね!