注目企業インタビュー
バッテリー救急サービスに革命を起こす
明朗会計で顧客に寄り添うパイオニア
高すぎる料金への違和感から起業
八重樫 実際にバッテリー救急サービスの現場に携わられてみて、どんなことを感じましたか?
岡本 最初は業務委託という形で仕事を請けていたのですが、ある時ふと「この価格、本当に適正なのだろうか?」と疑問を抱いたんです。例えば、お客様から3万円いただいたとしても、自分の取り分はそのうちの4割以下で、残りの大半は中間マージンとして差し引かれる仕組みになっていたんですよ。
八重樫 つまり、サービス提供者よりも、間に入る組織の取り分が大きかったと。
岡本 そうなんです。ただ、それ以上に気になったのは、お客様の負担でした。「もっとリーズナブルな価格で提供できれば、お客様にとっても自分にとってもいいんじゃないか」と思ったんです。実際、自分で1万円で提供してみたところ、非常に喜ばれましたし、何よりそのほうが納得感がありました。
八重樫 それは、利用者側から見てもありがたい提案ですね。特に緊急時は、冷静な判断が難しいでしょうから。
岡本 おっしゃる通りです。実はこの業界では、事前に明確な料金を提示しないという商慣習が根強く残っていて、例えばお客様から「おいくらですか?」と聞かれても、料金をはっきりお伝えしないようにと指導されるケースすらあります。料金を先に伝えてしまうと、他社と比較されて断られる可能性が高まるという考え方をしているからです。
八重樫 なるほど···。でも、それでは利用者は判断材料がないまま依頼することになってしまいますね。
岡本 しかも、バッテリー上がりなんて人生で何度も経験することではないので、お客様は相場を知る由もありません。だからこそ、私はお客様が不安にならずに済むよう、最初から料金を明示するスタイルで起業することにしたんです。
八重樫 まさしく、業界の慣習に風穴を開けるような挑戦ですね。
岡本 ありがとうございます。今申し上げた通り、「HI-JUMP」ではすべてのサービス料金をWebサイト上で明示し、追加料金や深夜料金も一切いただかない方針にしています。ありがたいことに、そうした姿勢を評価してくださる方々も増えてきました。中には「ここまで明快に料金を出している業者は珍しい」と言ってくださるお客様もいらっしゃり、それが励みになっています。
明朗会計をいつか業界の標準に
八重樫 事業開始から約1年、手応えはいかがですか?
岡本 最近、ある大手企業様の「選択型福利厚生制度」として、当社のサービスが選ばれました。従業員の方々が安心して使えるサービスを探している中で、私たちが掲げる「明朗会計」が評価されたそうで、非常に光栄です。これまで曖昧さが当たり前だった業界の中で、そこに安心感を持っていただけたのは大きな自信になりました。
八重樫 岡本代表の信念が世の中に少しずつ認められてきているのですね。素晴らしいです!最後に、将来への構想と思いをお聞かせください。
岡本 業界に革命を起こして大手と対等に競い合いたいですし、いずれは「HI-JUMP」の料金体系が、この業界の“新しい当たり前”になってくれたら嬉しいですね。そのためにも、今後は全国に支店を展開しつつ、志を同じくする個人事業主の方々と提携していきたいと考えています。大手のようなピラミッド型ではなく、フラットな関係で、それぞれがしっかり収益を上げながら、お客様にも適正価格でサービスを届けられるような仕組みをつくっていきたいです。
八重樫 一人ひとりがつながり合い、支え合う新しいモデルですね。
岡本 はい。その取り組みが、困っているお客様を助ける力になるはずです。短期的な利益ではなく、長期的に信頼される価値を提供することが、未来のロードサービスのあり方だと信じています。

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GUEST COMMENT
八重樫 東
不透明さの残るロードサービス業界において、明朗会計という信念を貫く岡本代表。その姿勢に、困っている人に寄り添い続けるという一貫した思いと、業界の課題に真正面から立ち向かう覚悟を感じました。着実に信頼を広げながら、“まっとうな選択肢”を社会に根付かせる「HI-JUMP」さんの挑戦が、新たなスタンダードを築いていくことを期待しています。