注目企業インタビュー
“父親の背中”が今も支えてくれる
受け継いだ技術と信念で未来をつくる町工場
スピードと正確さが何よりの強み
濱中 それでは「戸田鉄工所」さんの強みについてもぜひ、教えてください。
戸田 当社の強みは、スピードと正確さです。これまで私が蓄積してきた技術と経験に加え、CADシステムも活用して、お客様のニーズに柔軟に応えながら、高精度な製品をスピード感を持って製作しています。品質管理も徹底しており、作業の各段階で精度や強度を随時確認しているんです。また、ヒアリングから製作まで、私を含めた有資格者が対応いたしますので、安心してお任せいただけます。
濱中 そうした万全の体制が、「戸田鉄工所」さんのクオリティとスピードを支えているのですね。
戸田 その通りです。お客様には、価格以上の製品をご提供できている自信があります。一緒に働く他の職人たちにも、「どこよりも丁寧に作業しよう」と伝えているんです。最近の鉄鋼所は、倉庫のような見た目のところが多いですが、うちは、昔ながらの工場らしい工場です(笑)。見た目だけで判断されて「こういう場所だから、このクオリティのものしかできないんだ」とは絶対に言われたくありません。だからこそ、何よりも品質にはこだわっています。
濱中 いやあ、その気持ちすごくわかります。私は公立高校だったのですが、和歌山には智辯和歌山という全国屈指の私立の強豪がいてグラウンドも施設もすごかったんです。まさに“野球のエリート校”という感じでした。でも、心の底では「環境が違っても、絶対に負けたくない」と思っていました。派手さや設備じゃない。どこでやっているかではなくて、何をどうやるかで勝負したかった。環境ではなく、自分の意志と行動で差をつけたかったんです。そういう意味で戸田代表の「見た目で判断されたくない」「品質で語る」という職人としてのプライドにすごく共感します。
戸田 濱中さんにそうおっしゃっていただけて、とても光栄です。私が理想とする職人像は父なんです。父が亡くなってからも、父の仕事を知る方々にお会いすると、皆が父を褒めてくださります。現場でイレギュラーがあってもすぐに機転を利かせて解決してしまう『現場の勘』を持った父の姿が、私の目標なんです。
濱中 私にとっての父との練習時間がそうだったように、戸田代表にとっても、お父様の仕事ぶりや判断力が、今の現場での判断やものづくりに生きてるんだろうなと感じました。“背中を追いかけているつもりが、いつの間にか自分の道になっている”――。これって、どんなジャンルにも共通する“本物”の歩み方だと思います。今後のビジョンについてはいかがですか?
戸田 大きく事業を広げるよりも、父から受け継いだこの工場で確実な仕事を続け、「戸田鉄工所に頼んだら間違いない」と言っていただけるお客様をさらに増やしていきたいです。父の姿勢を受け継ぎながら、私自身の色も加えて、事業を着実に成長させていきたいと思います。

GUEST COMMENT
濱中 治
職人としての誇りを胸に、丁寧な仕事を徹底されている戸田代表。スピードと正確さを大切にしながら、高品質な製品づくりを追求する姿勢に深く感銘を受けました。お父様から受け継がれた職人魂と、ものづくりへの情熱が、これからの「戸田鉄工所」さんをさらに発展させることと思います。今後もその技術で、社会を力強く支え続けてくださいね。