注目企業インタビュー
外科、内科から訪問診療まで
患者の心に寄り添う町の医院
データを重視しすぎず患者と向き合う
亀山 何よりも患者さんの悩みに寄り添いたいという樋口院長のお気持ちが伝わってきます。やはり、診察も人同士のコミュニケーションですから、相手の思いをくみ取ることが大切ですよね。
樋口 亀山さんのおっしゃる通りです。最近の診察は検査データを見ることを優先しすぎてしまい、患者様本人と向き合う職人気質の医師は少なくなったように感じます。しかし、このような診察は「病を診て人を見ず」ですから私は患者様の顔を見ながら話すことを大切にしています。データでの判断はもちろんですが、患者様本人をじかに見た際の所感についても重視しているんです。例えば、往診の際にもいくつも検査機器を持っていくわけにいきませんから、患者様がどうしてこのような病気になってしまったのかということを、生活の背景まで想像し適切な治療方針をご提案していきます。
亀山 野球においても、データに頼りすぎると実際のパフォーマンスで違和感が生じてしまうことがあります。やはり、日本人の繊細な感性は医療にも必要なのですね。
樋口 ええ。また、長く診察をしていると、患者様を看取るケースも多いですし、余命が短い患者様にその事実をお伝えすることもあります。このような時に指針としているのは、かつての上司から伝えられた言葉なんです。「余命宣告は悪いことではない。人生のゴールがわかるのだから、患者様がしたいことができるようサポートすればいい。ただ、余命宣告は簡単にしてはならないし、何かあったときにはすべての責任を取るように」。その言葉を、いつも胸に刻んでいますね。
亀山 お父様の貫かれていた人に寄り添う診察で地域を支えている樋口院長。お仕事のやりがいもひとしおでしょう。
樋口 もちろんです。過去には、訪問診療で患者様のお看取りをした後で、ご家族から「樋口先生のおかげで最期まで一緒に過ごすことができました。ありがとうございます」というお手紙をいただいた経験がありまして、その時は、医者冥利に尽きると感じて心の底から嬉しくなりました。
亀山 地域に根差した診察を一貫する樋口院長。今後についてはいかがですか?
樋口 現在、20歳になった息子の公望も医科大学を目指して勉強中なんですよ。無事、医師になったらいずれは当院を手伝うと言ってくれているので、それまでは私も妻や副院長と手を取り合い、地域医療の第一線で頑張るつもりです。
亀山 どういう医師と出会うかは人生を左右する大きな問題。樋口院長のように何でも相談できるお医者さんが身近にいれば安心だと実感しました。ぜひ、これからも地域の健康のため前進し、いずれは息子さんへバトンをつないでください。私も応援しています!

GUEST COMMENT
亀山 つとむ
手間と時間がかかる訪問診療を重視する樋口院長は、地域の皆さんの幸せな暮らしに欠かせない存在です。お話をうかがい、お年寄りから子どもまで誰もが頼りにできる「町医者」であることがひしひしと伝わってきました。ケガや病気と闘う患者さんやそのご家族が再び明るい日々を送れるよう、医師である前に1人の人間として飛び回る院長はますます必要とされるでしょう。息子さんの成長を楽しみにしながら、これからも地元の方々がどんなことでも気軽に相談できる医院であり続けてください!