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Challenge+(チャレンジプラス)

注目企業インタビュー

80年代から活動する地域介護事業の先駆者
人生を振り返った自伝的エッセイも出版

 

一人ひとりの人生に寄り添った介護を

濱中 1980年代から地域の介護事業を引っ張ってこられた河田理事長の功績は素晴らしいものだと感じます。これまでを振り返ってみて、ご苦労も多かったのではありませんか?

河田 私はこの仕事を好きでやってきました。利用者様に笑顔になっていただけることが、自分にとっての喜びですから、この仕事がつらいと感じたことはありません。忙しい毎日の睡眠は3時間ですがまったく平気なんですよ(笑)。

濱中 私も現役時代は無我夢中で走ってきました。きっと、事業への情熱が河田理事長の元気の源なのでしょうね。ホームページを拝見すると、過去には海外研修に行かれたこともあるそうですね。

河田 はい。介護福祉の先進国であるオーストラリアへの研修は、大いに刺激になりました。充実した設備、広くて清潔な施設、そして「ご高齢者を大切にする」という文化に心から感動しましたね。日本の施設とは違い、利用者様お一人おひとりの人生やライフスタイルを反映したお部屋には一つひとつ違った個性があり、その方の人生を踏まえた介護のあり方にとても感銘を受けました。

濱中 野球界に例えるとメジャーリーグの球団に学びを求めたということでしょうか。「パークピア滋賀」さんには海外での知見や介護の理想が反映されているのですね。

河田 そうなんです。利用者様が快適に過ごせるよう、「パークピア滋賀」では床暖房や檜風呂を導入し、日光浴ができるお庭を設置しています。

濱中 確かに室内がとても明るく、内装や家具の雰囲気が、欧米のお宅にお邪魔しているような雰囲気です。一般的な施設とは異なった印象を受けました。河田理事長が介護サービスを提供するうえで心がけてこられたことも是非お聞きしたいですね。

河田 私は利用者様の人生歴・生活歴を踏まえ、人に寄り添った介護をするということを大切にしてきました。利用者様は生まれてから今まで、思うようにならなかったこと、悲しかったこと、孤独を感じたこと、さまざまな出来事を経験されてこられたと思います。たった1つの、その方だけの人生に寄り添い、共感しながらお世話をすること。それが何よりも大切だと、私も年齢を重ねてきて実感しています。

 

人生を振り返って書いたエッセイを出版!

▲2024年に出版した著書『LONG LONG AGO』

濱中 河田理事長は、過去に本も出版されたとうかがいました。

河田 はい。2024年に出版した著書『LONG LONG AGO』は、「こんな女性がいたんだよ」ということを知っていただくために書いた、私の自伝的エッセイです。30代で夫を亡くし、女手一つで私の父を含め5人の子どもを育てた祖母との思い出や、太平洋戦争のこと、起業の経緯などを書きつづっています。核家族化が進んだ日本では、子どもの枕元でおじいさんやおばあさんが昔の話を聞かせる習慣もなくなってしまいました。だからこそ、「時代を伝える本を書きたい。それができなければ人生を締めくくることができない」という強い思いで、最後まで書き上げました。

濱中 まさに入魂の1冊ですね。

河田 そうですね。私はこの事業にひたすら情熱を注いできました。ですから家族も「そろそろ後継者を探したら」とは絶対に言わないんですよ。なぜなら私が聞く耳を持っていないとよくわかっているからです(笑)。この事業はお命を預かる仕事です。「この方なら任せられる」と信頼できる方が現れるまでは、生涯現役で頑張ります!

 
 

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