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Challenge+(チャレンジプラス)

注目企業インタビュー

農家がプロデュースするおむすび専門店
6次産業化で農業の新たな可能性を開く

 

良い作物が消費者に真っすぐ届く工夫を

妻の美和子氏と共に

矢部 そもそもお二人は農業と無縁のお仕事をされていたそうですね?

古下(真) ええ。私の実家が代々農家で、最近まで祖母が米と野菜の栽培を手がけていたのですが、体が弱ってきたことを機に「そろそろやめよう」と話しているのを知り、祖母の育ててくれたお米や野菜を絶やしてしまうのはもったいないと思ったんです。

矢部 それでご夫婦の意見が一致したと?

古下(美) 初めは就農するというより、自分たちで食べるものをつくるくらいならいいかなという感じだったんですけど、やっていくうちに、あれもできる、こんなこともできると挑戦できる幅が広がってきて――。

矢部 とうとう、お店までつくってしまったんですね(笑)。

古下(真) ええ(笑)。こうしてお店をオープンすることができたのは、師匠である祖母や、周りで畑をやっている方たち、店舗開店前におむすびの販売を試していた時期から支えてくださったお客様方のおかげです。日々汗を流しているうちに、気付くと周囲の方々が手伝いに来ていただけて、今の自分たちがあります。だからこそ、日頃から協力してくださる皆さんには、本当に感謝しているんです。

 

農業にイノベーションを起こす!

矢部 若いお二人が必死に汗を流している様子を見て、周囲の方々も嬉しかったことと思います。そうした助け合いの心によって、この地域の農業がより一層強固なものになると良いですね。

古下(真) ええ。知り合った農家さんは、皆、数多くの人が美味しいと感じる非常に魅力的な作物をつくっています。それほど、この地域には素晴らしいノウハウや技術が備わっているんです。しかし、私たちが異業種から就農したからこそわかるのですが、近年ではスーパーマーケットが市場を占めていて、八百屋さんのような業態で商品を販売している農家さんは、自身の良い商品を満足に届けることができていないように感じます。それだけに、当店で実践している6次産業化のように、私たち農家がより多くの消費者の方たちと直接つながるような施策が広まっていけば、農業の未来も変わるのではないかと思っているんです。そのため、今後はおむすびにとどまらず、地域を絡めたさまざまなプロデュースもしていきたいですね。

矢部 おむすびを皮切りに裾野を広げていかれるのですね。地域でつくられた素晴らしい作物をより多くの方に届けたいというお二人のお気持ちが強く伝わってきます。お店も順調なスタートを切って、今、仕事にどのようなやりがいを感じていますか?

古下(美) 当店のロゴと名前の通り、私たちは「縁を結ぶ」ということを大事にしてきました。おかげさまで、これまでいろいろなご縁に恵まれ、たくさんの人とのやり取りの中で感動を覚える瞬間がたくさんあったんです。一つひとつの出会いこそが、大きなやりがいにつながっています。これからもそうした出会いを大切に紡いでいきながら、農業を続けていきたいですね。

矢部 将来に向けてのビジョンについても、ぜひ教えてください。

古下(真) これから農業をやってみたい若い方たちが一歩を踏み出せるように、同じく農業未経験者だった私たちがロールモデルの役割を果たせたらと思っています。実際、農業がしたい、おむすびをつくって販売してみたいという声もいただいているので、いずれは「チームK.farm」として、若手農家やMusubiブランドを広げていけたらいいですね。

矢部 夢を口に出すことはとても大切ですよね。そして何より、お二人の底抜けの明るさと絆の強さが素敵です。これだけ明るいお二人がお店に立っていれば、どんどんお客さんも増えていくと思います。これからもその凄まじいバイタリティで、地域の活性化を図り、農業に変革をもたらしてください!

 
 

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