注目企業インタビュー

飲食・おすすめスポット
気軽に通い、心の悩みを打ち明けられる
児童心理カウンセラーによる癒やしのカフェ
心療Cafe.Cachette(カシェット)
代表 杉谷 昂律
PROFILE
大学で児童心理学を専攻。卒業後は訪問介護、精神科クリニックでのカウンセリングに携わり、2018年に大阪府堺市で「心療Cafe.Cachette」を開業。カウンセリングを受けることのハードルを下げる空間づくりに力を入れつつ、薬物療法や身体療法と異なる、言葉のやり取りや絵画、音楽などを用いた精神療法を行っている。
COMPANY DATA
- 住所
- 〒599-8114
大阪府堺市東区日置荘西町6-7-26 - URL
- https://sinryoucafecachette.crayonsite.info/

インタビュアー 矢部 美穂
矢部 「心療Cafe.Cachette(カシェット)」さんは、児童心理カウンセラーである杉谷代表が開業されて、現在7年目だそうですね。心療とカフェという組み合わせに興味を引かれますけれど、文字通り“カウンセリングを受けられるカフェ”なのですか?
杉谷 その通りです。1階が自家焙煎コーヒーや軽食を提供するカフェ、2階が精神療法のためのスペースになっています。
矢部 カウンセラーさんがサービスで飲み物を出している感じではなくて、本格的なカフェだったので正直驚きました。先ほどトマトドリアをいただきましたが、トマトのほかにも緑黄色野菜がふんだんですごくおいしかったです。コーヒー以外のドリンクメニューも豊富だから、毎日のように通いたくなりますね。そもそも、杉谷代表がカフェを開こうと思われたきっかけは何だったのでしょうか?
杉谷 精神療法を必要としている方に向けて、医療機関でも福祉事業所でもない、行政ともNPOとも関わりのない、完全にフラットな場所をつくりたいというのが一番の動機でした。きっかけは、以前、精神科のクリニックに勤務していたときにある患者さんから「症状が落ち着くと周囲の目が気になって通院しづらくなる」と言われたことです。どうしても、精神科へ通っているという状況をネガティブにとらえてしまうらしく…。
矢部 なるほど。だから、「心療カフェ」なのですね。
杉谷 はい。私自身、医療や福祉のサービスを提供する側の視点しか持ち合わせていなくて、そこへ通ってくる患者さんの負担を考えていなかったので、はっとさせられたんです。そこで、その方の意見を参考に、いつでも気軽にカウンセリングが受けられる場所として当店をオープンしました。
矢部 カフェとカウンセリングスペースが1階と2階に分かれているのも良いですね。カフェのお客さんを気にしないで話ができそうです。
杉谷 はい。安心できる空間で、心の悩みを吐き出していただけます。ただ、思わぬ副産物もあって、カウンセリングルームでお話しするつもりで来られた皆さんがカフェで仲良くなり、話が弾んだ結果、前向きになれて「もうカウンセリングはいらない」となることもあるんです(笑)。
矢部 素敵なお話ですね!私は昔いじめを経験しましたが、当時は助けになってくれる人が近くにいなくてつらい思いをしました。学校や職場、自宅とも違う第三の場所があると、救われる人が多いと思います。杉谷代表は固定観念にとらわれず広い視点をお持ちで、今後が楽しみです。
杉谷 ありがとうございます。当店では通常のカウンセリングのほか、LINEを活用した真夜中の相談対応や、箱庭療法、集団精神療法としての芋掘り体験など、いろいろな療法を行っています。年2回の芋掘りでは、自閉症の子に前向きな変化がみられるなど、うれしい瞬間もありました。今後も心の悩みを抱えたご本人に対してはもちろん、ご家族へのケアも含め、真摯に取り組んでいきたいと思います。