コラム


人生100年時代と言われ、仕事でもプライベートでも、自分の夢や目標を達成するまでには長い時間が残されているように感じられる現代。しかし時間の有限性を意識せずにぼんやりと過ごしていると、時というものはあっという間に過ぎ去ってしまう――そんな着眼点から、時間をいかに有意義に使うかを助言しているのが、Time Craft Consultantの奥村哲次氏だ。当コラムでは、大病を乗り越え自らの決意と行動によって成功をつかんできた同氏から、ビジネスに必要不可欠な「マインドセット」について学んでいく。
皆様、いつも大変お世話になっております。(株)ラフティ代表取締役、奥村哲次です。今回のテーマは「努力できない」「集中できない」「勉強が苦手」という言葉についてです。
楽しければ、勝手に続く
私は「努力」していません。「集中」していません。「勉強」しているつもりもありません。ただ「知りたい」「やってみたい」と思ったことを、夢中で続けてきただけです。気付けば夜が明けていた─―そんな経験は誰にでもあるはずです。努力とは本来、我慢して続けるものではありません。「おもしろい」と感じた瞬間から、勝手に続いてしまうのです。
私の場合、その源は好奇心です。わからなくても放置せず、しつこいくらいに「なぜ?」を追いかける。理解できるまで掘り下げるからこそ、集中力が途切れない。その姿が外から見ると「努力」や「勉強」に見えるのかもしれません。でも実際は、ただ「知りたくて仕方ない」だけなのです。
正直に言えば、私だって勉強や努力は得意ではありません。だからこそ、勉強や努力を「楽しむ」視点がなければ続かないのです。楽しむ工夫=好奇心を爆発させること。その感覚さえ持てば、自然と続けられるのです。
興味を持ち、欲望を燃やせ
「おもしろそう」と思ったら飛び込んでみる。「怖い」と思ったら、なおさら挑戦する。壁にぶつかれば、それ自体がスキルに変わります。挑戦は、いつしか自分の血肉になっていきます。
ここで大事なのは、壁を避けるのではなく、しつこいほど研究して乗り越えることです。わからなければ調べ、壊れるまで試し、納得いくまでしつこく食らいつく。そうして好奇心を爆発させた先に、確かなスキルが生まれていきます。
また、忘れてはいけないのは「失敗の価値」です。挑戦して失敗しなければ、見えないことが必ずあります。むしろ、成功してしまったときほど「なぜ成功したのか」が曖昧になり、再現性を失うことが多い。だから私は、成功は時に“運”だと捉えています。そして失敗こそが、確実にスキルへと変わる学びの源だと思うのです。
脳科学が示す「やらないリスク」
医学や脳科学の研究は、挑戦と学びを止めることの危険性を繰り返し警告しています。
・新しいことを避けると40代から脳機能が衰える。(順天堂大学:加藤俊徳医師)
・学びを止めれば前頭前野の活動が低下する。
(東北大学:川島隆太教授)
・学び続けた高齢者は認知機能の維持率が高い。
(スタンフォード大学研究2022)
・生涯学習は認知症予防の主要因。
(米国アルツハイマー協会)
「やらない」ことは、未来の脳を静かに殺していくのと同じです。さらに研究を掘り下げると、失敗を通じた試行錯誤が前頭葉を活性化させることや、小さな成功体験がドーパミン分泌を促して学習意欲を高めることもわかっています。
「できない」は幻想だ
「努力できない」「集中できない」と言う人は、実は「やらない理由」を探しているだけです。本当に怖いのは「やりたいのに、もうできない」と感じる未来です。だからこそ、今やるべきなのです。
挑戦の前に「無理だ」と線を引いてしまえば、その瞬間に可能性の芽を自分で摘み取ってしまいます。小さな一歩でも踏み出せば、景色は確実に変わります。最初の挑戦は不格好でもいい、失敗してもいい。むしろその失敗こそが、次の成長の材料になります。「できない」と口にする前に、「まずやってみよう」と自分に言ってみてください。あなたの中の「できない」という幻想を壊すのはあなた自身です。
ビジネスの現場でも同じ
学歴や肩書よりも、「知ろうとする姿勢」が最大の武器になります。挑戦を繰り返し、疑問を掘り下げ、改善を続ける人が、最終的に信頼され選ばれるのです。ビジネスの現場で求められるのは「完璧さ」ではなく、「挑戦をやめない姿勢」です。わからないことを正直に認め、学び続ける人ほど周囲の信用を勝ち取ります。逆に、失敗を恐れて何も動かない人には、チャンスそのものが訪れません。私自身、技術も企画も管理も、すべて「やってみる」から始めました。その積み重ねがノウハウとなり、気付けば1人で数億規模のプロジェクトを動かせるようになっていました。**ビジネスにおける成功とは、特別な才能ではなく「しつこい好奇心の再現性」**なのです。これは誰にでも手に入る武器です。
おわりに
もしこのコラムを読んで、ほんの少しでも胸が熱くなったのなら―─ぜひその勢いで一歩踏み出してください。あなたの挑戦は、必ず未来のあなたを救います。本稿が皆様の背中を押す小さな炎となれば幸いです。
次回のテーマは、「時間 × オブジェクト思考」。人生という有限の時間を、オブジェクト思考でどう設計し、幸福につなげるか。プログラミングと人生の共通点を紐解きながら、「時間の使い方」を新しい視点で考えてみたいと思います。どうぞご期待ください。
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