コラム

方法論だけでは通用しない。求められるのは「人間力」。
多様な価値観を持つ人々をまとめ、
複雑に変化を続ける状況に対応するには、
共感力と柔軟性を備えたマネジメントが不可欠!
急速な技術革新とグローバル化の進展により、現代のビジネス環境は「VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)」と呼ばれる、先の読めない時代に突入しました。こうした状況下では、多様な関係者の利害を調整しつつ、不測の事態にも柔軟に対応できるマネジメントが求められます。
30年以上にわたってプロジェクトマネジメントの最前線に立ってきた著者は、現代のプロジェクトリーダーやマネージャーが成果を上げるためには、「統率力(対人調整能力)」「先見力(先を読む構想力)」「対応力(臨機応変な行動力)」という3つの実践的な力が不可欠だと説きます。
本書では、この3つの力を軸に、課題設定から関係者対応、意思決定、トラブル対処までのプロセスを、哲学・思想のコンセプトや具体的な現場のエピソードを交えてわかりやすく解説。IT分野にとどまらず、製造業、サービス業、公共領域など、あらゆる業界・職種に応用できる内容となっています。プロジェクトマネージャーはもちろん、チームリーダーやメンバーにとっても、現場で役立つ実践的な指針を得られる一冊です。
《著者Q&A》
■プロジェクトマネジメントに哲学の思想を取り入れる発想が新鮮でした。この発想にたどり着かれるまでのストーリーや、きっかけがあれば教えてください。
若い頃は、プロジェクトマネジメントの解説書から学んだ理論やノウハウに頼っていましたが、実際の現場ではうまくいかないことも多く、悩みました。そして、最も大切なのはプロジェクトで接する色々な人間を理解することであると気付き、人類の叡智である哲学にこそ本質的な答えがあるという考えにたどり着きました。
■この本を特にどんな人に読んでもらいたいですか?
すぐに役立つノウハウを求めるのではなく、中長期的な視点で自らのビジネス・キャリアをじっくり磨いていき、時代やトレンドに左右されない普遍的な能力を高めていきたい人に読んでもらいたいと願っています。
■中小企業経営者が自社のプロジェクトを成功へ導くために、特に意識すべきことは何だとお考えでしょうか?
本の中でも、常にプロジェクトの目的に原点回帰し、ブレない信念を持つことの重要性を語っていますが、まさに経営者の方々が特に意識すべきことでもあると考えています。
■近年では、外国人人材の登用も積極的に行われています。外国人人材と共に働くうえで、どのようなことが大切でしょうか?
同じ日本人でも価値観や性格が異なりますが、外国人人材ではさらに文化や慣習の違いも加わります。私が心がけているのは、相手の表面的な言動や振る舞いではなく、なぜそのような発言をするのか、行動をとるのか、その目的や意図に焦点を当てることです。言動や振る舞いが異なっても、目的や思いは一致して共感が生まれることを海外での経験から学びました。
■中小企業経営者が「コンフリクト」や困難を楽しむコツは何でしょうか?
コンフリクト(矛盾)は摩擦と言い換えられます。摩擦がない平穏な環境は安心で快適ですが、何も新しいことは生まれません。摩擦が生じ、それを解決しようとすることで新しい発想が生まれ、変化が起きます。コンフリクトは自分自身の成長の糧なのです。そう考えれば、むしろ積極的に受け入れ、楽しむことができると思います。
■本誌の読者に向けてメッセージをお願いします。
移り変わりの激しい予測不能な時代だからこそ、自分の中に確固たる信条や価値観を築き上げることの重要性がますます増しています。この本が、皆さんが自分自身と向き合う一助となれば幸いです。
![]() 1968年生まれ。コンサルティング会社(旧デロイトトーマツコンサルティング)と事業会社経営管理・IT部門(電通グループ)の2社を経験。前職の電通では、約10年間中国に駐在して、現地法人の経営管理全般を担当。経営・組織戦略、ITから財務・人事管理、内部統制に至る経営管理(コーポレート)領域の基盤整備(業務改革)プロジェクトを推進。駐在最後の2年間は英国広告会社買収に伴う海外事業の再編にも関与。帰国後、ITコンサルタントとしてのキャリアを再スタート。2017年、(株)MixturePlusを起業、現在に至る。 発行:幻冬舎メディアコンサルティング URL https://www.gentosha-mc.com/ 発売:幻冬舎 URL https://www.gentosha.co.jp/ |