コラム

――篠﨑社長は24歳という若さで、半世紀以上の歴史がある工務店の3代目社長に就任されました。業界を問わず、老舗企業の後継者不足が叫ばれていますが、社長はどのような思いで会社を引き継がれたのでしょうか?
幼い頃から父や祖父の背中を見て育ち、小学5年生の時にはすでに家業を継ぐことを自分の夢として抱いていたので、当社の3代目になるうえで一切の迷いはありませんでした。周囲からは「まだ若いのではないか」という声も上がりましたが、自分の中ではやる気と自信しかなかったですね。
――事業継承後には建設業に加え、飲食業やアパレル業などにも進出されています。こうした事業展開の構想はずっとお持ちだったのですか?
生来、私は何でもやりたがりな性分で、かねて挑戦したいことはたくさんあったんです。それで、まずは仲間探しをして、共に手を取り合えるパートナーを見つけてから、1つずつ事業として形にしていきました。建設業には建設業の、飲食業には飲食業の大変さや楽しさがあります。さまざまな経験を積むことで、私自身もより成長していけると思っているので、20代の今のうちは、興味を持ったことはとにかく何でもチャレンジしたいと考えています。ためらいはないです。
――主事業である住宅の設計・施工では、100冊を超えるカタログを用意して顧客へ提案をされることもあるそうですね。家づくりに懸ける思い、こだわりについてぜひ語ってください。
家というのは、「3回建て直さなければ本当に良いものはできない」と言われています。しかし、多くのお客様にとってマイホームは一生に一度の買い物ですし、そんなに気軽に建て直せるものではありません。だからこそ私は、「当社を選んでいただいたからには1回でご満足いただける家づくりをご提供したい」という強い思いを持って、毎回の打ち合わせに全力で臨んでいるんです。先代までは事務所もありませんでしたが、私の代からは事務所も展示場も構えて、お客様に実物をお見せしながらご提案できる環境も整えてきました。お客様からも高い評価をいただいております。
――篠﨑社長はプロバスケットボールチーム「さいたまブロンコス」、少年少女サッカーチーム「FC VELSA」とパートナーシップを結ばれるなど、スポーツを通じた地域振興・子ども支援に力を入れていらっしゃいます。こちらにはどんな背景があるのでしょうか?
私もかつてサッカーや柔道に打ち込み、その中でスポーツにはプレーヤーだけでなく見る人にも勇気や活力を与えられる魅力があると感じてきました。「さいたまブロンコス」さんはそういう意味で感情移入できる情熱的なチームで、地域の子どもたちを育てるアカデミー活動にも感銘を受けたため、声をかけていただいた時にすぐパートナーシップを結ぶことを決めたんです。「FC VELSA」さんは、当社と同じ蓮田市を拠点に活動されていて、全国大会に出場するほどの実力がありながら、まだまだ地元の人たちに認知されていないと思ったので、当社も盛り上げるお手伝いをさせていただこうと、パートナーになりました。
――お話をうかがっていると、篠﨑社長の活動の根幹には「子どもたちへの思い」があるように感じます。
そうですね。私の哲学は「大人が変われば子どもが変わる、子どもが変われば未来が変わる」。大人である私たちが、子どもたちの挑戦を応援したり、成長につながる活動をサポートしたりすることで、未来の世の中をより良いものにしていけると信じています。最近は地域の特別支援学校にうかがう機会も多くなり、さまざまな個性を持つ子どもたちが一生懸命頑張っている姿を見て私自身も大きな力をもらっているんですよ。
――篠﨑社長は他にも救助犬支援や子ども食堂支援など枚挙にいとまがないほど社会貢献活動に尽力されています。その行動力の源は何なのでしょうか?
私がここまで成長できたのは、周囲の方々のお力添えがあったから。そのぶん、今は自分の周りのあらゆる物事に対して、できる限りの恩返しをしたいと考えているんです。今も、保育園を設立することを目標に、地元の市や町と情報共有をしながら、どのような施設にすれば地域の方々に喜んでいただけるか、構想を練っています。個人的には、スポーツ・学習・遊びなど各ジャンルごとに多くの体験をさせて、子どもたちが自分のやりたいことを見つけられる場所をつくれれば理想的ですね。
――弊誌は一歩を踏み出したい人の背中を押すことをテーマに掲げています。最後に、常に新たな一歩を踏み出し続けている篠﨑社長から読者の皆様にメッセージをお願いします。

▲ (有)篠﨑工務店がパートナーシップを結んだ少年少女サッカーチーム「FC VELSA」
私は、やりたいことがあればとにかくやってみる、ということを一番に考えています。やってみた結果として、「思ったよりもできそうだ」「これは想像以上に大変そうだ」といろいろなことが見えてきて、次に何をすべきかも見えてくるので、読者の皆さんにもぜひ、一歩踏み出してみることの楽しさを味わっていただきたいですね。
![]() 創業56年の歴史を持つ(有)篠﨑工務店を営む家に生まれ、幼少期から後継者となることを強く意識する。24歳の若さで3代目代表取締役社長に就任すると、顧客の理想の家づくりを実現すべく、事務所・展示場を新たに構え改革に着手。さらに飲食業・アパレル業など多角的に事業を広げる。また地元のプロバスケットボールチーム「さいたまブロンコス」、少年少女サッカーチーム「FC VELSA」とパートナーシップを締結するなど地域振興・子ども支援にも尽力する。 <会社情報> 有限会社篠﨑工務店(本社) 〒349-0136 埼玉県蓮田市上平野1935-1 https://shinozaki-koumuten.co.jp/ |